眼内レンズ混濁のメカニズム

1)グリスニング
 スリットで光学部中央全体に小さいつぶつぶの斑点
 拡大して観察すると多数の輝点
 IOL内部の小間隙に大きな水相分離が発生した状態
 疎水性の温度による吸水率の違いにより余った水がIOL内に貯留した状態
 開閉瞼によっても前房水温度は2°位変化する

2)ホワイトニング
 Sub-surface nano glistening(SSNG)
 アルコン製Acrisofで生じる
 IOL表面近くの混濁
 徹照像で表面散乱(−)
 スリットでIOL前後面表層に散乱光の増加
 若干視機能に影響
 小さい水の相分離がIOL表面に限局して無数に発生した状態
 無数の微小水相分離に光が反射・散乱し白濁したように見える
 3年間までの研究では増加する

 1)と2)の違い
  同じ現象でIOL内部の生じる部位が異なっている

3)カルシウム沈着
 ボシュロム製ハイドロビューで生じる
 スリットでIOL表面にカルシウム粒子を認める
 眼底透見困難
 IOL包装容器のシリコン化合物がIOLに付着
 DM、透析、緑内障等とくに眼疾患、全身疾患患者に多発


1)2)と3)の違い
 1)2)
  混濁はIOL内部
  光線透過率20%以下の低下
  コントラスト感度↓↓
  グレア弱
  摘出はほとんどなし
 3)
  混濁はIOL表面でびっしり隙間なし
  硬性透過率50%以下の低下
  コントラスト感度↓
  グレア強
  摘出することあり





  
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