日常診療に役立つ流涙疾患の診かた
日本では涙道・眼瞼・眼窩再建外科と別々に捉えているが、欧米・アジアでは、Ophthalmic plastic and reconstructive surgeryと一塊で考える。
OPRS+αでWatering eyeをトータルに見ることが大事

Watering eye
 涙道疾患
 涙道疾患以外
  Environmental factor
   Chronic antigen challenge(慢性的なアレルギー性刺激)
   Dry eye

流涙の自覚症状
 涙がこぼれる、流れる…実際に外に流れて出る
 涙がたまる…流れてはいない
 目尻・目頭ににじむ
 涙がたまったように見にくい…本当は見にくいだけ(白内障等)
 目が乾いて涙が出る…実際はドライアイ
 涙が出そうで出ない
 (めやに)…涙嚢炎の症状
 (朝目が開かない)…涙嚢炎の症状
 
いつ、どこで涙が出るのか
 いつでも、どこでも…涙道疾患
 午前中は気にならない
 起床時
 外で冷たい風に当たったとき…ドライアイ?
 運転中、テレビ鑑賞時…眼精疲労?
 下を向くと出る…刺激物を開けていたときだけだった

流涙は問題でないことも
 涙が出ても困っていない…治療は不要で、丁寧なカウンセリングを行う
 医者から「詰まっている」と言われた…気になってしまう


流涙症の診断と治療

T.涙嚢炎と涙小管炎
1.涙嚢炎
 症状
  急性…疼痛、腫脹
  慢性…疼痛なし

 診断
  Mucocoele
 ◎Micro-reflux test(MRT)
   涙嚢部を圧迫してみて膿が出る→涙嚢炎(or涙小管炎)と診断可
  Syringing(涙洗)で膿が出る→涙嚢炎(or涙小管炎)と診断可
  *膿は透明、混濁に関わらず粘液であれば涙嚢炎

 治療…手術できる施設に紹介
  External DCR(鼻外法)…効果大、再発まれ
   ただし予定していたほどリノストミーができなかった場合再発あり
  Endoscopic endonasal DCR(鼻内法)…効果やや↓
  Microendoscopic NLD intubation without a DCR…効果↓
   Natural patencyでは70%の効果持続率
   Assisted patency
    涙道内視鏡での観察・処置を続ければ効果は持続可能
 効果(経過良好例の場合)
  自覚症状:NLDI>EDCR>XDCR
  TMH:NLDIが低くて良い

2.涙小管炎
 症状
  典型例では、眼瞼を上げただけで火山から噴火するようにだらだらと膿が出る
  涙点周囲の腫脹
 病態
  涙小管の水平部の涙点に近い側に憩室
 涙道内視鏡所見
  涙小管内の肉芽
 治療
  洗浄
  石がなくなるまで除去
  とくに大きいものは切開摘出(9%)

U.涙嚢炎と涙小管炎以外
 流涙疾患で涙嚢炎が原因は多くない
 治療の第一選択:半分は手術、半分はmedical

 涙がたまっていない流涙症あり
  高齢者のTMH 0.2〜0.3mmが一番多いが、TMHと流涙症状に相関なし

 Evidences
  1.涙嚢、鼻涙管で涙液は吸収される
   涙液−血液循環
    座位で涙点に入る涙液のうち下鼻道に出るのは1/10で9/10は吸収される
    臥位で10/10吸収される
    吸収された涙液は血流に入り、再び涙腺へ
  2.多数の「無症候性涙道閉塞」が存在
   涙道通過障害と流涙症状の関係
    完全閉鎖の40%が流涙患者だが60%は無症状
    逆流なしでも20%が流涙を自覚
    →逆流と症状は相関なし
  3.流涙患者の涙液中にIgEが存在
   アレルウォッチ
    流涙患者の47%陽性、53%陰性

 Chronic antigen challenge説
  Cytokinese→Hyperlacrimation→Overloading
  Toxic tear→Inflammation and fibrosis→Stenosis
  →Retention of cytokinese
  →Cytokinese concentration by evaporation
  →繰り返し

 治療
  抗アレルギー剤・ステロイド点眼
   涙液の目頭・目尻への染み出しにIgE陰性だったが有効
  過剰分泌を抑制するmedical治療
  上記効果なければ手術(涙道、結膜、眼瞼)

V.まとめ
 Watering eye
  次の3つの異常が単独または重なり合っている
   涙道異常
   結膜弛緩
   眼瞼・瞼縁異常(眼瞼外反)
  その他にも、ドライアイ、アレルギー性結膜炎が関連している場合がある
  治療
   涙嚢炎合併→手術
   それ以外(膿なし)→medical治療
   満足が得られなければ手術
   それでも治らなければmedicalで維持

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