ドライアイとムチン
T.ムチンとは
タンパク質+多糖体が結合した糖タンパク
生体では粘膜を潤し、粘膜の損傷を防ぐ
高分子…アポムチン+糖鎖
タンデムリピート
Oグリコシド結合…他のタンパクはNグリコシド結合
セリンorスレオニン+アミノ酸
糖鎖(O-グリカン)でいっぱい(質量で55%)
分泌型と膜型
分泌型ムチン
@ゲル形成ムチン
A可溶性ムチン
膜型ムチン
膜貫通ドメイン
分泌型+膜型…MUC1〜MUC21のサブタイプ
眼表面におけるムチン
分泌型ムチン
結膜胚細胞から分泌
MUC5AC(ゲル形成ムチン)
ヒト正常結膜
MUC5AC(分泌型ムチン)
膜型ムチン
microplicae(微絨)に結合
MUC1,4,16
膜型ムチンがGlycocalyx(糖衣)を形成
NUC16発現…上皮細胞の最も表層
涙腺 MUC7
結膜胚細胞 MUC5AC
結膜上皮細胞 MUC1,MUC4,MUC16
涙液の構造
油層
液層 分泌型ムチン…液層をゲル化(分泌型ムチンは負の電荷を帯び涙液中に広く拡散するため)
上皮 膜型ムチン…眼表面の濡れ性とバリア機能
涙液中のムチン
分泌型ムチン
MUC5AC,MUC7
膜型ムチン
MUC1,MUC4,MUC16
*分泌型だけでなく膜型ムチンも見られる
CLに付着するムチン
CLタンパク質はCLの電荷によって異なる
正電荷のタンパク質は負電荷のCLに付着
負電荷のタンパク質は正電荷のCLに付着
ムチンは負電荷
涙液に存在するすべてのムチン(負電荷)が正電荷のCL(EtafilconA)に付着
電荷以外の問題もある
影響
長所…CLの水濡れの助けになる
短所…病原体の付着する足がかり
U.ムチンの眼表面における役割
涙液保持
眼表面を潤滑にする
スムーズな球面→視力
バリア
病原体やデブリスを捕獲(くっつく)
cf:生体材料表面
水濡れ↑
タンパク質吸着↓
細胞・バクテリア吸着↓
眼表面におけるムチンと水濡れ
涙液中ムチン…拡散
膜型ムチン…上皮と親水性
BUT短縮型ドライアイ
BUTのみ極端に短い(1〜2秒)
乾燥感の訴えが非常に強い
F染色:多くは円形のスポットを生じる
(通常BUは縦線状に起こることが多い)
ムチンが関係…ムチンが少ない
眼表面におけるムチンのバリア機能
ローズベンガル染色、リサミングリーン染色
ムチン(+)→染色(−)
ムチン(−)→染色(+)
ムチン糖鎖による感染防御
ムチン糖鎖を抑制すると角膜上皮細胞において細菌の接着↑
Galecin-3が糖衣の安定化に関連する
膜型ムチン+Galacin-3が結合した状態でバリア
細菌により膜型ムチンが切れてローズベンガル取り込み↑
細菌以外ではBACが眼表面に影響
V.ムチンとドライアイ治療
シェーグレン
結膜胚細胞密度↓
結膜上皮と涙液でMUC5ACの発現↓
ドライアイ治療
水分補充
涙液を長く保持させる
蒸発を防ぐ
眼表面の破壊を改善
親水性にする
ムチンをドライアイに投入すれば?
ムチンは結晶化しない→点眼液作成は非常に困難
cf:ムチン精製の成功例
クラゲからクニウムチン
将来的に眼科領域へ導入?
ムチン分泌促進薬
P2Y2受容体作動薬
15-HETE
レバミピド(胃粘膜保護)
エカベトナトリウム(胃粘膜保護)
レバミピド
胃で様々な粘膜保護作用
ムチン様糖タンパク産生↑
細胞進展・増殖
ピロリ菌接着抑制
炎症性サイトカイン抑制
ムコスタ…胃で粘液の著明な増加
レバミピド点眼
胚細胞増殖、粘膜ムチン増加
ジクアホソルナトリウム
結膜のP2Y2受容体に作用
胚細胞からのムチン分泌↑
結膜上皮からの水分分泌↑
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