眼感染症の治療と予防

抗微生物薬

抗菌薬の作用機序
@細胞膜合成阻害
  βラクタム
  ポリペプチド系
Aタンパク合成阻害
  アミノグルコシド系…殺菌的
  マクロライド…静菌的
  クロラムフェニコール…静菌的
  テトラサイクリン…静菌的
BDNA gyrase
  ニューキノロン系

抗真菌薬
 アゾール系…フクコナゾール、ミコナゾール
 ポリエン系…ピマリシン、アムホテリシンB
 ピリミジン系…アンコチル(R)
 キャンディン系…ミカファンギン(ファンガード(R))
 
 ポリエン系
  強力で広いスペクトル
  強い副作用
   アムホテリシンB…腎毒性
 フココナゾール
  水溶性
  スペクトル狭い…糸状菌には効果低い
  耐性のカンジダが問題
 ミコナゾール
  糸状菌(アスペルギルス等)にも効果
 イトラコナゾール
  糸状菌にも効果
  経口薬…通院治療に適
 ボリコナゾール
  フザリウムにも効果(上記の薬では無効)
  一過性の視力障害
 ミカファンギン
  カンジダに非常に有効
  アスペルギウスに静菌的
  フザリウムに効果なし
  全身投与にて眼移行性低い

抗ヘルペス
 アシクロビル…内服で吸収が悪い
 バラシクロビル
  アシクロビルのプロドラッグ
  内服でアシクロビルの静注と同様の効果
   1日2〜3回投与(帯状疱疹では3,000mg(6錠)分3

クラミジア結膜炎
 成人型封入体結膜炎
  片眼、亜急性、充血・眼脂(!)
  下眼瞼円蓋部の大型濾胞
 新生児封入体結膜炎
  乳頭増殖
  しばしば偽膜

 Chlamydia trachomatis
  生活環
   基本小体 EB…感染性
   網様体 RB…非感染性、増殖
  ウイルスと同様に感染細胞内に封入体を形成(Prowazek小体)
  抗菌薬は網様体にしか効かない
   点眼:マクロライド系、ニューキノロン系が有効…基本的に耐性はない
   眼軟膏:エコリシン、タリビッド 1日5回 6〜8週
   内服:ミノマイシン、クラリス 1〜2週
  治療に2〜3ヵ月かかる

細菌性結膜炎
 寝たきり老人などの長期投与の場合
  Cyclic therapy ある期間で変更(耐性予防)
 治療:LVFX、CMXがよく効く
  表皮ブドウ球菌 Staphylococcus epidermidis…CMX(ベストロン)よく効く
  インフルエンザ菌 LVFX100%有効
  MRSA 全般に感受性低
       CP(クロラムフェニコール)に低感受性少ない
 進行する黄色ブドウ球菌
  耐性プラスミドを取り込み、薬剤耐性を獲得していく


感染性角膜炎
 CL
  FRSCL、SCL…グラム陰性桿菌
  DSCL、MUSCL…グラム陽性球菌(常在菌)
 
 アカントアメーバ
  掻破
  抗真菌剤(フルコナゾール、ミコナゾール、イトラコナゾール)
  消毒薬
   PHMB(ポリヘキサメチレンビグアナイド)…シストにも有効
   クロクヘキシジン

アデノウイルス結膜炎
 抗生剤…点眼した方が良い
  混合感染
  クラミジアの可能性あり
 ステロイド
  しない方が良い(ストロイドによる角膜上皮炎)<した方が良い(偽膜予防)

上皮型ヘルペス
 眼軟膏で副作用が出たら、バラシクロビル内服に変更
 アシクロビル耐性角膜ヘルペス…AIDS
  TFT(trifluridine)点眼液

実質型ヘルペス
 ステロイドは漸減(1ヶ月毎、半年かけて)
 ステロイド結膜下注射は再発しやすいので避ける






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