涙道手術とQOV

T.涙道手術

DCRの問題点
 抗凝固療法中の術中・術後出血
 高齢者の場合の手術時間
 インフォームトコンセントを得ることが困難

眼科外来で
 鼻涙管閉塞の占める割合は3%位
 白内障手術は1%位

涙道チューブ挿入術が視機能に及ぼす影響
 視力改善はなし
 しかし、自覚症状は改善
  波面センサーによる眼高次収差↓
  貯留涙液量が多いと瞬目直後に涙液層で不均一に
   →コマ収差の原因になる
 涙道閉鎖を治療すると
  感染性眼内炎↓
  QOV↑

術後成績
 鼻涙管閉塞チューブ術
  3割が再閉塞
   再挿入必要もしくはDCR必要になる症例あり
  2回目手術で成績はさらに改善
 総涙小管閉塞
  再発はほとんどない

涙小管部水平部閉塞
 閉塞程度 Grade1>2>3
  Grade1:総涙小管のみ
  Grade2以上:涙小管から涙点方向に閉塞あり
 Grade2,3では4割チューブ挿入不可
 Grade2,3の原因
  EKC、角膜ヘルペス、薬剤の副作用、抗癌剤(TS−1)

 TS−1
  胃癌化学療法の第一選択
  涙小管閉塞、角膜上皮障害
  治験で0.1〜5%に流涙
  市販後調査で2〜10%で涙道閉鎖
  0〜3Mで発症(早い時期、急速に)
  治療効果
   予防的DSI>DSI>DCR(もうすでに遅い)>EC-DCR
  シスプラチン併用で涙道閉鎖↑
  涙道チューブでは対応できない症例あり
   C−DCR(Jones tube)を行っても成功率50%
  可能な限り早期にチューブ挿入
  予防的挿入も考慮


U.先天性鼻涙管閉塞症

自然治癒
 生直後、新生児の70%が鼻涙管閉塞
 新生児の先天性鼻涙管閉塞症の有病率 6〜20%
 12ヶ月で90%前後が自然治癒

治療時期
 欧米では早期のProbingをしない
  3才で全麻下手術
 国内では統一見解なく、乳児期Probingが行われる
 プロービング後菌血症あり
  生後6ヶ月は母体免疫と獲得免疫の端境期…易感染性
 初回治療は、盲目的プロービングもあり
 再治療は、涙道内視鏡によるプロービングも考慮すべき
 演者は、プロービングせず自然治癒を待つ





  
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