角膜浸潤を見極める

角膜浸潤
 ・非感染性(免疫学的機序)か感染性か
 ・鑑別の落とし穴
  

感染性vs免疫性
 感染性
  中央部
  単発
  円形
 免疫性
  辺縁部
   角膜輪部から等距離の瘢痕病巣
  多発性(時間的・空間的)
  輪部に平行な楕円形
  境界鮮明(周囲の角膜浮腫なし)

 判断つかないとき
  抗菌点眼で2,3日加療し効果を確認

 全身的検査
  RA、膠原病、甲状腺疾患等

免疫学的機序の場合の治療順
 ステロイド点眼
 ステロイド結膜下注・内服
 (MSC)
 結膜切除
 移植

Mooren潰瘍
 増悪傾向の場合
  結膜切除
   潰瘍部を超えて切除
   強膜を露出
 角膜穿孔・虹彩脱出
  移植
   病変首座は周辺部、中央角膜健常
   視軸への影響回避
    小→"mini KP"(部分的)
    大→annular KP

 移植の原因疾患
  Mooren 1/2
  RA 1/4

感染
 起炎病原体から分類
  細菌
  真菌
  アカントアメーバ
  ヘルペス
  アデノ
 発症契機から分類
  CL
  外傷
   バチルス、CNS、連鎖球菌、糸状菌
  眼表面疾患
   ドライアイ、移植、涙道疾患…常在菌
  点眼薬
   抗菌薬→真菌↑
   ステロイド→常在菌↑

入院を要する感染性重症CL眼症
 67%が20才代以下
 緑膿菌 70%
 アカントアメーバ 56%

緑膿菌
 わずかな栄養源で増殖
  →水周りに存在、院内感染ありうる
 角膜への接着性
  緑膿菌>>黄色ブドウ球菌
 線毛を介して接着
 エラスターゼ・プロテアーゼなどの酵素や病原因子を放出
 円板状
 実質融解を伴う輪状膿瘍
 周囲への強い角膜浮腫
 治療:ニューキノロン+アミノグリコシド 頻回点眼
  スピーディに治る
  翌日にも効果出現、1Wで瘢痕化
 治っても、角膜混濁、乱視が残る…ムンテラ必要

 角膜感染症治療のゴール
  @起炎菌を減少させ消失させる
  A視機能回復…長期化したり移植必要例もあり

 緑膿菌のCL眼への感染
  初期パターン
   1)最初は小さな病巣から
      輪状病変も円板状病変も周囲浮腫もない
     ◎とげ状の浸潤
       辺縁が”菌糸状”
     病巣が拡大し円板状へ
   2)治療開始→角膜浮腫→”見かけ上”増悪することあり
      パラドクス…”緑膿菌の逆襲”
      浸潤自体は↓
 治療開始後48時間以内に改善するのが普通


鑑別診断の落とし穴
 CL眼症の場合
  免疫学的機序によるもの、感染によるものの両者がある
  症例)
   中央部角膜に淡い浸潤+CLに糸状菌
   CL中止して抗菌点眼で治癒
   →角膜内には感染は成立せず

 "CL-induced acute red eye(CLARE)"
  免疫学的機序+感染
  特徴
   CLのケアが悪い
   両眼
   エピソードが長い
   抗菌剤に抵抗性
   血管侵入
  MGD
  治療:抗菌剤+ステロイド

 鑑別困難例
  CL中止+抗菌点眼で2〜3ヵ月経過を見る
  感染(−)→ステロイド点眼





  
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