角膜疾患の外科的治療 最近の進歩

T.角膜移植

 全層から層別移植へ

 角膜内皮移植:DSAEK
  ホストのデスメ膜を剥離・除去し、ドナーの深層実質+内皮を移植
  乱視少ない
  視力安定が早い
  縫合糸による合併症なし
  痛がらない

 最近、水泡性角膜症増加のためDSAEK数増加
  BKの主原因はLI

 移植後内皮減少
  PKPでは10年経過しても正常の7倍の速さで減少
  DSAEKでは6ヶ月間減少しその後維持か(?)

 内皮移植の原因疾患
  日本
   LI後40% 白内障術後20% Fuchs20%
   小角膜、浅前房、強い白内障、weak zonule、進行した角膜浮腫
   上記のため手術成績は悪くなる
  米国
   Fuchs75% 白内障術後20%
   早期手術(白内障があっても平均術前視力0.5程度)
   深い前房…手術しやすい

  原因の違いが予後の違いを生む

 DMEK…デスメ膜のみを取る
  視力予後はDSAEKより良い
 
 DALK…深層層状角膜移植(Deep anterior lamellar keratitis)
  デスメ膜と内皮を残して実質と上皮を切除しドナー角膜縫着
  利点
   眼内手術の合併症(駆逐性出血等)ほとんどなし
   内皮方拒絶反応なし
   長期の免疫抑制剤不要
   外傷に強い
   使えるドナー角膜数↑
  課題
   術式難しい(デスメ膜穿孔しやすい)
   どうやってスムーズにデスメ膜を露出するか?
    鏡面反射法によりデスメ膜分離
    Big bubble法
  うまくいくと
   拒絶反応なし
   ステロイド点眼6Mで切れる
   打撲に強い
   抜糸後はケアフリー


U.フェムトセカンドレーザー

 フェムトセカンドレーザー
  光学的デリバリーシステム
  FLAK…ジグザグ切開可
  種々の角膜移植デザイン可

 応用
  白内障手術
   角膜切開
   CCC、核分割
  屈折矯正手術
   ReLFx
   老眼治療…水晶体にレーザー照射して水晶体を柔らかくする


V.円錐角膜

 円錐角膜
  思春期に多い。10〜20年間進行
   500〜数千人に1人(およそ2000人に1人)
  治療
   眼鏡
   HCL
   角膜移植(DALK,PKP)

 角膜クロスリンキング(CXL)
  UVAとビタミンB2で角膜実質の強度を上げる
  リボフラビン点眼しながらUVAを30分照射
  現在は、時間↓、上皮剥離しない、他の架橋剤、他の術式との併用(ICR、LASIK、角膜熱形成)
  適応
   進行性円錐角膜
    24Mで、k値≧1.00D、屈折乱視≧1.00D、等価球面度数≧0.50D
   ペルーシド角膜変性症
   医原性角膜拡張症
  Siena Eye Cross Study
   全例で円錐角膜の安定化・進行予防できた
  
 角膜内リング(ICR)
  効果はマイルドだが可逆性
  矯正4D位まで
  円錐角膜に応用
  近視・乱視を軽減
  HCL装用の延長
  将来における角膜移植への移行を予防
   






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