眼鏡レンズによる学童の近視予防研究アップデート

T.近視進行の理論

早期発生近視
 眼軸長が過伸展→近視

近視予防治療試験
 アトロピン点
 眼鏡レンズ
 コンタクトレンズ

眼鏡が近視進行に関連する研究
@長軸と短軸に屈折度の差
  6匹のサルに-6〜+9Dのレンズ装用させると眼鏡により屈折度が変わる
A赤ちゃんに凹レンズ装用→眼軸延長
 赤ちゃんに凸レンズ装用→眼軸不変

 すなわち、発達段階のある時期に眼鏡→視覚的環境に合わせ眼軸を伸ばす
 また、クリアな網膜像は眼軸を安定させる

後面へのデフォーカスは眼軸を延長
日常生活でなぜ網膜後方へのデフォーカスが起こるのか?
 人間のオートフォーカスには一定の誤差がある
 66cm(+1.5D)が調節安定
 Tonic accomodation=Red zoneより近くを見ると調節が付いていけず調節ラグが生じる
 33cm(+3D)の近業で調節ラグが生じる
 近業時、網膜後方へのデフォーカス→眼軸長延長


U.近視進行に対する眼鏡治療の試み

周辺屈折矯正
 眼軸長の視角制御における周辺網膜の役割
 周辺網膜における後方へのデフォーカス
 周辺屈折の測定 FR-5000Grand Seiko
  水平経線で周辺部デフォーカスが起こりやすい
  RRG(Radial reflaction gradient)デザインレンズによる周辺屈折矯正

PAL
 加入度数+1.5Dでは33cmの近業時、+3-1.5=+1.5D(=Tonic accomodation)なのでRed zoneに入らない

 治療成績
  PAL
   近視トライアルPart1
   小学生に加入度数+1.5DのPAL(MC-PAL(Sola社))を装用
   3年間近視変化

  PALの予防効果
   18Mで0.17D(抑制率15%)
   治療開始が早いほど抑制効果大
    PAL装用上の注意
     眼鏡が下がりやすいので通常より5mm上げてfitting
 
 世界のStudy
  抑制効果 11〜17%
   臨床的には推奨できるものではない
 Targeted study
  抑制効果 24〜33%
  進行が速い症例

MioVision(Zeiss)
 RRGデザインレンズの弱点である周辺部に非点収差(乱視)↓
 水平経線で周辺部デフォーカス↓
 1年間の近視進行速度では有意差なし

 両親のうち少なくとも1人が近視→30%に近視進行予防効果あり
 Target study(2011〜)
  
MC−PAL2
 近視トライアルPart2(2008〜2011)
  RRG+PAL=MC−PAL2
 24Mで13%の抑制効果
 +1.0D加入
 近視の家族歴なしの症例でとくに効果あり
 近視予防効果は統計学的には有意差あり
 臨床効果としては比較的低い(最大30%)

遠近両用CLによる周辺部屈折矯正
 抑制効果 34〜49%
 Menicon Duo
 Ortho-Kも高い効果の可能性






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