緑内障診療
 〜乳頭出血のあれこれ〜

乳頭出血(DH):血管系脆弱性のシンボル

病因
 説は多々でまだ不明
 例)篩状板の彎曲に伴う前部毛細血管の伸展:緑内障

頻度
 40歳以上で0.6%、緑内障で8.2%、非緑内障で0.2%
 女性、高齢者、緑内障で頻度↑

 多治見スタディ
  40歳以上で1.2%、男女差なし
  緑内障14%、

 まとめると
  40歳以上で100人に1人くらいある
  緑内障では頻度が10倍以上に

 正常 0.4%
 狭義POAG 2〜37%
 NTG 11〜42%
 高眼圧症 0.4〜10%

 つまり、NTGでは正常者の20倍以上の頻度
 他の緑内障に比較してもNTGでは頻度高い

見逃し
 OHTS(Ocular Hypertension Treatment Study)
  立体眼底写真で確認されたDHのうち、眼底検査で発見されたのは16%のみ。
  眼底検査だけでは8割強が見逃される。
 僅かに残っているもの、血管に紛れているものは見逃されやすい。

鑑別診断
 DH≠緑内障

 PVD
 乳頭ドルーゼン
 網膜血管閉塞症
 非緑内障性GON
 糖尿病
 高血圧症
 白血病
 SLE
 近視

 近視
  若年
  出血の深さはまちまち
  上鼻側が多い
  硝子体牽引による破綻性
  表在性あるいは脈絡膜由来の出血
  自然治癒

 網膜血管閉塞症
  CRVO、BRVO…散瞳して網膜全体を観察した方が良い

 網膜細動脈瘤出血

 cf:
  BRVO…緑内障と誤診することがある
   乳頭、NFLD、GCC、CP異常:緑内障と一致することがある
   とくに出血消失、PC(−)は分りにくい
  網膜血管病変と緑内障
   糖尿病、高血圧症など全身背景、視神経乳頭部の構造変化が網膜血管を歪ませる
   片眼にRVOがあれば、僚眼にも下耳側・上耳側で有意にRNFLT↓
   20%で緑内障性視野変化があるという説がある

好発部位
 早期緑内障では
  第1位:下耳側 第2位:上耳側
  ノッチングやNFLD付近に要注意
   POAG、NTGでDHの80%はNFLDに一致するかその近傍で観察される
 緑内障以外では
  比較的まんべんない部位で発症

自然経過
 消退
 2W〜2M、およそ100日
  Disappear within one Hundred days : だから'DH’と覚える





   
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