両眼視の発達と3D映像

立体映像
 1900 Anagrif…赤青眼鏡
 1939 Polarized color
 1970 IMAX
 2009 3D映画普及
 2011 眼鏡なしで見る3Dゲーム機の発売
    液晶シャッターで左右視を分離

 手術支援ロボット「da Vinci」
  3D映画より大きな視差を用いて遠隔操作で手術(前立腺等)

任天堂は3DS発売にあたり、6歳以下に使用させないことをアナウンスした。
(日本では、ハードメーカー、コンテンツ関係者、学識経験者、経産省、総務省で決めた)
しかし、アメリカの研究者はそれに反発。
 ・3D眼鏡をサルに3ヶ月かけ続けさせたが異常は生じなかった
 ・3D立体視が眼の成長を妨げる証拠はない

奥行き系3D…同側性視差…例)アバター
飛び出し系3D…交差性視差…例)USJスパイダーマン

T.立体視と調節・輻輳の関係
 立体視の基礎
  手の届く範囲の奥行き感には両眼立体視が重要
   単眼でも奥行き感はある
    陰影
    透視画法
    Texture
    運動視差
   両眼で
    静的視差
    動的視差
  脳の後頭葉視覚領が動的ステレオグラムで視差(+)
   立体視::V3A…高次の視覚野
    背側経路…大まかな立体視…空間視、動き
    腹側経路…細かい立体視…形状視(形・色)
          個々の物の表面の形状・立体感

 輻輳と調節の関係
  完全矯正下の近視・遠視(日常視)では両者は比例関係にある
  非完全矯正下の近視・遠視では両者は比例関係にない
 
  日常視では輻輳と調節の関係に幅がある(相対調節・相対輻輳)
   矯正しなくても通常複視は出ない
 
  3Dでは輻輳と調節の相互作用がはたらく
   日常視と異なり、調節と輻輳が分離される
  10凾ワでは輻輳と調節は正常(あまり調節は不要)
   それ以上では融像できないか近視化して疲れる
   3Dの達人では近視化しない
  飛び出し系は個人差あり
   飛び出し系がつらい人
  輻輳→近視化

U.眼精疲労と3D
 眼疲労…休息すれば回復する眼の疲労
 眼精疲労…休息しても回復しない眼の疲労
  原因…眼表面(ドライアイ)
     毛様体筋(調節不全、調節痙攣、外斜位、飛び出し系3D)
     中枢神経系(不等像視、上下斜位、3D映像)
  要因…環境要因(3D表示法)
     個人の要因(輻輳不全等)
     回復要因(休憩等)

 ・輻輳不全があると、奥行き系3Dは問題なく、飛び出し系3Dは眼精疲労を来たしやすい
   輻輳近点が正常値:≦10cm
 ・不同視があると、融像性輻輳維持が困難
  がんばって融像すると眼精疲労を来たしやすい
  クラスには1〜3人輻輳不全の子供がいる

 3D視聴後の複視
  両眼で融像を維持する力(運動性融像=融像性輻輳)の弱い人
  両眼で分離する3Dを見ると斜視を生じる可能性がある
 (1)斜位がある
     とくに上下方向
     上下斜位の頻度 小児の0.26%
 (2)左右の眼のバランスが悪い
     2D差以上の不同視
     片眼の円錐角膜等

V.立体視の発達と3D
 立体視の感受性期間と3D融像
  乳児内斜視…2歳までが臨界期(1日も両眼視したことがないため)
  調節性内斜視…6歳までが臨界期
 3D映像視聴後の急性内斜視
  出現後3ヶ月しても戻らず斜視手術を要した症例があった
  ◎立体視の発達期(6歳まで)は3D視聴を避けるのが望ましいと思われる
 立体視弱い症例
  従来の立体視検査で検出できない弱い立体視でも3D映像が立体的に見える例がある
  周辺融像は大まかな立体視
  従来の立体視検査:チトマステスト…視角10°(中心立体視)
  立体視の弱い症例では奥行き系3Dより飛び出し系3Dの方が立体的に感じられる
   大きな視差には立体感を感じ、奥行き系(3Dムービー)には立体感(−)でも飛び出し系(3Dアトラクション)には立体感(+)だったりする
 cf:黄斑疾患でも周辺部立体視は(+)






  
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