緑内障診療の工夫と治療
     〜診断から薬物治療まで〜
緑内障診断の注意を要するポイント
 眼圧(日内変動)
 近視
 中心角膜厚
 緑内障家族歴
 既往歴(高血圧、頭蓋内病変など)

障害が早く出る順
 網膜神経線維層厚→乳頭陥凹→視野

乳頭観察のポイント
 視神経乳頭
  陥凹の拡大:縦方向、深さ方向、下掘れ、左右差
  辺縁部:notching、皿状下、菲薄化
  血管走行:屈曲、露出、鼻側偏位
  陥凹拡大と蒼白部拡大
  乳頭径
 乳頭周囲網膜
  乳頭出血
  網膜神経繊維層欠損
  乳頭周囲網脈絡膜萎縮(PPA)

緑内障性視野障害の特徴
 上下で発現時差あり
 鼻側周辺から障害されることが多い
 乳頭所見と一致するはず

判定を誤りやすい乳頭
 近視乳頭
 大乳頭、小乳頭
 傾斜乳頭症候群
 視神経乳頭低形成:SSOHなど
 先天異常:乳頭コロボーマ、乳頭小窩、朝顔症候群など
 網膜疾患:循環障害、変性など
 視神経疾患:前部虚血性視神経症(AION)など

視神経乳頭低形成(傾斜乳頭、SSOHなど)の視野異常パターン
 鼻側階段ではない
 マリオット盲点に向かう楔状暗点
  ”盲点に くさび打ち込む 低形成”
 なお、SSOHではGCCは正常

cpRNFLの注意点
 加齢に伴い減少(-2μm/10年)
 眼軸が伸びると減少
 アジア人は白人に比べて厚い
 乳頭周囲では3.4mmの部位を測定するため、乳頭径によって測定する場所が異なる
 機種ごとにnormative dataが異なる
 白内障では薄く測定される
 慢性腎不全、アルツハイマー病、多発性硬化症、HIVなどでも薄くなる

GCCの最近の報告
 加齢とともに減少
 眼軸長が伸びると減少
 強度近視眼では、GCCとcpRNFLは緑内障検出には同程度有効
 近視眼では、GCCが垂直C/D比やcpRNFLよりも緑内障検出に有効
 GCCおよびcpRNFLともに二次回帰モデルでMDと相関

PGs
 房水産生→
 conventional outflow→(↑?)
 uveoscleral outflow↑
 注意点
  CME
  ヘルペスの再活性化

β,αβ遮断薬
 房水産生↓
 conventiona outflow→
 uveal outflow→(↑)
 就寝中は効果なし(夜間眼圧を下げず)

炭酸脱水素酵素阻害剤
 CAU阻害能:エイゾプトとトルソプトは同等
 房水産生↓
 単独投与vsチモロール併用:眼圧下降作用に差はなし
 夜間眼圧も下降

コソプト配合点眼
 ラタノプロストと同様の眼圧下降作用
 ラタノプトストと併用でさらに16%の眼圧下降

コソプトvs0.5%チモロール
コソプトvs0.5%チモロール+1%ドルゾラミド
 TM(2回)(-2.50mmHg)<コソプト(2回)(-2.50mmHg)≒TM(2回)+DRZ(3回)(-2.48mmHg)

アイファガン点眼液
 BAC free
 α2受容体を刺激
 房水産生↓
 uveoscleral outflow↑
 結膜アレルギーに注意
 めまい、頭痛、傾眠などの神経系障害に注意
  Blood Brain Barrierをわずかに通過するのか?
 神経保護作用に期待
  視野維持効果
   チモプトール≒ベトプティック≒キサラタン≒ハイパジール
   NTGに対して、4年の経過で、2%ブリモニジンは0.5%チモロールより視野を維持
 β遮断薬、CAIよりもトラフでの眼圧下降効果が弱い

Copyright © Sugimoto Ophthalmic Clinic All Rights Reserved.