日常診療に役立つ神経眼科
問診が重要
 現病歴
  いつ頃から? どのように発症?
 既往歴
  HT、DM、高脂血症
  悪性腫瘍、心疾患、外傷
 診察
  head tilt、face turn、片眼遮蔽

複視
 両眼の眼球運動 version
 単眼の眼球運動 duction
 ヘスチャート
 必要眼位でのAPCT

 左右6つずつの外眼筋の作用不全で起こる
 各筋は眼球がそれぞれの方向に動くときに最も大きな働きをする
 また、例えば外転時、上直筋と下直筋に同量のtensionがかかり、互いに上下方向の力を打ち消す

水平複視
 左右の外直筋、内直筋いずれかが原因
 眼球運動で明白な制限が認められない場合がある
 →ヘスチャート、3方向(正面・右・左)APCT

 5mでAPCTが下記であった場合
  右方視 0    →正位
  正面視 2傳in →2凾フXT
  左方視 5傳in →5凾フXT
   と簡単に解釈することができる

APCTのメリット
 軽度の眼球運動障害でも他覚的に検出
 経過中の斜視角の変動を他覚的に追える
 ORTがいない→red glass testで代用

外転障害と外転神経麻痺
 外転が悪い…外転障害
 外転神経麻痺は外転障害の原因の一部にすぎない
 PseudBCGとの鑑別が必要
  Pseudo tumor orbitae = medial rectus myositis 内直筋炎
  Blow out fracture = medial wall fracture 眼窩内側壁骨折
  Congenital / Convergence spasm 先天性(Duane症候群,Moevius症候群)/近見反応の過剰(輻輳痙攣)
  Graves disease / myasthenia Gravis 甲状腺眼症/重症筋無力症
   甲状腺眼症:眼瞼浮腫、眼瞼後退、◎眼瞼遅滞(眼球を動かすと眼瞼が遅れて動く)

上下複視の鑑別
 左右の上直筋、下直筋、上斜筋、下斜筋のいずれかで起こる
 Bielschowskyの3 step test
  @正面視で左右どちらが上斜視か?
  A右方視、左方視どちらで斜視が悪化か?
  BHead tilt
    上下方向に作用する8つの筋には回旋作用がある
    直筋、斜筋ともHead tiltすると垂直方向に戻ろうとする回旋が働く
    上直筋は内旋、下斜筋は外旋しようとする

外転神経麻痺
 原因:微小血管障害(糖尿病、高血圧症、高脂血症)…3〜6ヶ月で回復
    両眼性の場合、脳圧亢進で起こりうる…うっ血乳頭の有無を確認

滑車神経麻痺
 原因:先天性
    小児期は症状無し
    中年以降に代償できなりなり複視出現
    小児期の写真でhead tiltありうる
 治療:まずはプリズム眼鏡

動眼神経麻痺
 下転もあまりしない
 散瞳(+)…脳動脈瘤の可能性→すぐに脳外科紹介
 散瞳(−)…やはり脳外科紹介した方が無難
 
 動眼神経過誤支配
  神経の異常再生
  外傷・圧迫性疾患で

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