身近な角結膜疾患の臨床

1.淋菌性結膜炎
  角膜穿孔、充血(+++)、眼脂
  泌尿器科所見(−)
  ペニシリン、テトラサイクリン、アミノグルコシド系、ニューキノロン耐性菌出現
  ニューキノロン耐性率 44%(日本)
  多剤耐性が増えている

2.角膜炎の病原菌
  @ウイルス(HSV−1、VZV)
  A細菌(ブドウ球菌、肺炎双球菌、緑膿菌)
  B真菌(カンジダ、フザリウム、アスペルギルス)…角膜膿瘍 Corneal abscess
  Cアカントアメーバ
 結膜炎の病原菌
  @細菌(ブドウ球菌、肺炎双球菌、インフルエンザ菌、淋菌等)
  Aウイルス(アデノ、EV-70、CA24V)
  Bクラミジア

 角膜炎の感染形態
  @日和見感染
    高齢者、免疫不全
  A外傷、CL
    ステロイド点眼が誘因

3.診断の問題点
 @種類と分類
 A感染か非感染か
 B病変部位
   角膜の場合
    中央→感染
    周辺→免疫反応
    ただしすべてに当てはまらない

4.耐性化
 抗菌全身薬使用率
  ニューキノロン 95%…将来、耐性化が問題
  セフェム 35%
  キノロン 20%

 ニューキノロン点眼液で耐性菌増加中
  オフロキサシン 33%
  レボフロキサシン 20%

 例)ニューキノロン(トスフロ)
    潰瘍底に白色沈着物…Corynebacterium

5.アカントアメーバ
 疫学
  水道水、海水、湖水、プール水、風呂水、土壌、ゴキプリ、ハエ等に生息
  米でSCL装用者の100万人に1.6〜2人に発症
  2週間交換SCL装用者に多い
   ケースの乾燥が大事
   アカントアメーバは乾燥に弱い
 症状の特徴
  ◎角膜障害の割に強い毛様充血
  線状の角膜神経炎 radial keratoneuritis(発症確率1/3)
  多彩な角膜所見(白斑、角膜混濁) SCL装用者に多い
 病期
  初期…角膜上皮障害
  移行期
  完成期…浮腫、角膜実質病変
       多層性、偽樹枝状病変

  1ヶ月で移行期→完成期と進行
 鑑別疾患
  @○角膜ヘルペス
  A角膜真菌症
  B角膜細菌症

6.ヘルペス
 特徴
  Terminal bulb
 鑑別疾患
  再発性角膜上皮びらん

7.アデノウイルス結膜炎
 特徴的症状
  瞼結膜に点状出血
 潜伏期
  数日〜2週間と長い
  咽頭結膜熱PCFとの違い
  潜伏期も感染性あり
 抗体価
  1〜2週で上昇
 病型
  @PCF B群
  AEKC D群
 症状の傾向
  流涙が強い
  点状出血
  充血が強い
  ただし軽度では診断が困難
 強く疑う臨床像
  両眼性 82%
  家族内発症 46%
  角膜上皮下混濁 40%
   消失するまで長期間のステロイド点眼は可
 型別重症度
  Ad3 PCF 結膜症状軽度
  Ad4 EKC 結膜症状重症
 アデノチェック
  感度80% 特異性は高い
  陽性率は第1病日67%(必ずしも高くない)
  第2病日79%と↑
  第5病日で陽性率48%と2、3病日に比べ↓(ウイルスがいなくなる)
 咽頭結膜熱
  一般に夏に多くプール熱と呼ばれる
  手洗い、うがいで予防





  
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