トラベクレクトミーの臨床エビデンス
T.MMC併用レクトミーの歴史

 一大学病院の緑内障手術
  POAG、NTG 30%
  PE緑内障 34%
  DMによるNVG 20%
  ぶどう膜炎 7%
  …続発緑内障の占める割合が多い

  内眼手術の既往
   あり 57%

  術式
   レクトミー 78%
   チューブシャント 12%
   エクスプレス 4%

 濾過手術の歴史
  1857 von Graefeによる虹彩切除術
     透明な胞状隆起=ブレブ
  1869 de Weckerによる強膜切開術
  1906 Lagrange
  1909 Elliotによる管錐術、Sheie手術
  1961 レクトミー
     低眼圧を防ぐためSugarによる強膜弁を作成した濾過手術
  1968 Cairns濾過胞による眼圧下降を発見
  1983 ChenによるMMC+レクトミー
  1984 Heuerによる5-FU術後結膜下注射
  1991 Kitazawa:眼圧下降はMMC>>5-FU

 切開部位:輪部→円蓋部基底結膜
  円蓋部基底結膜切開の輪部切開に対する特徴
   血管:富む
   ブレブの大きさ:低くてびまん性
   手術時間:短い
   術後眼圧:同じ
    ↓
   手術が楽で濾過胞感染に強い(?)
   入院中に漏出の可能性あり


U.内眼手術とレクトミー

 レクトミー不成功のリスクファクター
  内眼手術の既往

 NVGに対する濾過手術予後因子
  若年齢○
  CRVO
  硝子体手術○
  増殖膜の網膜剥離
  PAS raio
  両眼性のNVG

 結膜侵襲とレクトミー
  キシロカイン結膜下注射で成績↓
  上直筋への牽引糸
  結膜切開後1年以上の緑内障眼で線維芽細胞増殖、リンパ球浸潤↑
  結膜の縦切開側にはブレブが形成されにくい

 白内障手術とレクトミー
  ECCE・ICCEの時代レクトミーの予後は不良
   結膜瘢痕
  PEAとレクトミー
   フェイコの結膜瘢痕を避けて上方結膜にレクトミー可

 強膜切開とレクトミー
  PEAは有水晶体眼に比べレクトミーの予後は不良

 IOL眼がレクトミー抵抗性なのは?
  水晶体がないとレクトミー抵抗性?
  房水中のタンパク組成の変化?
  2年以上前にPEA施行したIOL眼で房水中の炎症性サイトカイン濃度↑
   水晶体上皮細胞から炎症性サイトカイン

 レクトミー単独vs角膜切開フェイコ+レクトミー
  レクトミーと白内障手術の期間を空けた方が眼圧は上がりにくい
  1年以内では有意にリスク↑

 レクトミーのコツ(まとめ)
  初回手術が圧倒的に成績良好
  白内障手術、硝子体手術で上方結膜を温存
  ステロイド点眼を術後も継続(炎症↓)
  ハイリスク(IOP↑↑)は白内障同時手術を避ける
  レクトミー後の白内障手術は1年以上空ける


V.新しく登場した緑内障手術

 レクトミーの繰り返しはレクトミー不成功の危険因子
 アメリカでは2回目以降
  レクトミー↓ チューブシャント手術↑
 チューブインプラント
  バルベルト Baerveldt
   プレートが大きい…効果大
   レクトミー不成功例に
  EX−PRESS
   フラップ作成と繊維柱帯を開ける代わりにステントを挿入
   低眼圧を避けるため
   レクトミーの代わりに

 チューブvsトラベクレクトミートライアル (TVT trial)
  レクトミー既往眼、白内障手術既往眼
  成功率と早期合併症はチューブシャントの方が良い
  晩期合併症は同じ

  早期合併症
   脈絡膜剥離
   前房形成不全
   結膜リーク
   前房出血
  晩期合併症
   角膜浮腫→内皮細胞減少
   知覚異常(ブレブがころころする)
   チューブ露出

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