早期に発見した小児の眼疾患
小児の眼疾患

 小児は深刻な眼の病気は少ない
 稀が疾患が多く絶対数が少ない

 成人の眼疾患
  生活習慣(食事、スマートフォン)
  加齢変化
 小児の眼疾患
  生活習慣
   近視の低年齢化(DSの影響?)
  器官形成の異常、先天性疾患


小児の前眼部検査

 細隙灯
 UBM
 RedCam
  ROP以外の眼底疾患全般
  年長児用のプローブ
  隅角の広範な観察

 画像検査の有用性
  短時間での検査、観察を保管
  小児では十分な時間をかけての検査は不可
   疾患・病態の知識により診るべき患者を絞る

 睡眠導入・全麻下での検査
  詳細な観察
  眼圧測定

 細隙灯
  ハンディタイプ
   乳幼児
   観察光量不十分
    前房の細胞・フレアの観察には不適
    ぶどう膜炎、網膜芽細胞腫の播種病変
  スタンドタイプ
   若年齢でも親のだっこ等で可

 UBM(超音波生体顕微鏡検査)
  乳幼児では全麻が困難
  年齢に関わらず可
   カップ、プローブのサイズが問題

 角膜の混濁
  原因により混濁の機序が異なる→視覚障害の様相に違い
   例)ヘルペスならば角膜不整→CL必要  

  先天性
   形成異常
    Peter奇形
    強角膜デルモイド
   ジストロフィー
   代謝異常疾患
  後天性
   ウイルス感染症(角膜ヘルペス)等

 角膜デルモイド
  強主経線上にデルモイドを含む斜乱視
  屈折異常の程度:デルモイドの大きさと相関

  単純切除…早期からHCLによる不正乱視の矯正が可能
  角膜移植(表層/全層)…手術時期が問題

 高度の角膜混濁
  小眼球
  眼瞼欠損…部分的兎眼
   等

 角膜混濁と水晶体異常の合併例
  irido-corneal-lenticular dysgenesis
  Peter奇形…もう片眼にも何らかの異常合併多

 虹彩・瞳孔の異常
  瞳孔膜異残
   通常、形態覚遮断は軽度
   瞳孔領のposterior synechiaは散瞳剤ではずす

 虹彩異色症
  虹彩実質の高度萎縮→瞳孔機能に影響

 水晶体の異常
  混濁
   形態覚遮断
   形態覚遮断の程度を混濁の状態で判断は不可
   全身疾患、固視の程度、眼振を参考に
  屈折異常、高次収差
   @星芒状混濁
   A後部円錐水晶体
     強度の不正乱視
     眼内レンズ手術適応
     合併症
      硝子体動脈遺残組織
      Clopuet管
      PFV
      PHPV
   B後極混濁
     ほとんど進行しない
     形態覚遮断弱視にならない
   C後嚢の形態異常
     後嚢の膨隆:後天性・遅発性
   D前嚢の形態異常
     Peter's
  位置異常:偏位・亜脱臼
   水晶体欠損の合併 lens coloboma
   Zinn小帯の減数…亜脱臼

   水晶体偏位
    通常、強度近視・乱視を伴う
    IOLを入れるもの一つの手段

  球状水晶体
   前・後嚢とも曲率半径が前後に厚み大
   新生児期には球状水晶体の形態が強まる→浅前房

   cf:生後早期の角膜混濁
    緑内障(?)
    代謝異常(?)
    内皮機能不全(?)
    浅前房

   cf:顔面血管腫
    単純血管腫(?)
    Sturge-Weber(?)
    先天緑内障の合併<50%
     ↓
    脳の萎縮・石灰化
    2徴候でも除外できない

   cf:先天緑内障
    生後6ヶ月まで
    隅角発達異常緑内障

   cf:発達緑内障の診断
    牛眼→診断容易
    緩徐に進行するタイプ→診断困難
     角膜浮腫(−)
     流涙、羞明、眼脂
      遷延する場合は疑って慎重に経過観察
     異常発生と診断時期の間に2〜3Mのタイムラグあり
     ポイント
      ◎乳頭陥凹拡大
      眼圧
      角膜径…3才まで大きくなる
      角膜浮腫…不顕例あり
      前房深度…年齢に依存

  後部胎生環…虹彩と角膜が癒着
  先天無虹彩…緑内障を合併すると難治

 RetCam
  隅角検査に利用
  irido-corneal dysgenesis
  

小児白内障の視機能術後管理
 屈折異常
 弱視
 眼位

屈折管理
 無水晶体眼
  術後1週間以内できるだけ早くのCL装用が原則
  検影法+頂点間補正+近見加入(乳幼児)
   視力発達は近方視から

  頂点間距離補正
   CL度数=眼鏡度数÷(1−頂点間距離m×眼鏡度数)
   仮に、+10Dトライアルレンズを装用
   検影法による度数+12D→補正分+2.02D
   板付きレンズで眼前20cm→補正分+3.79D
  近見加入
   +3D
 
  lenticularタイプのCL
   1歳未満ではハイパワーのCLが必要
   光学部の前面カーブとキャリア部のレンズデザインに違い
   レンズ重量を下げる
   サンコンマイルドEp

  弱年者のCLは両親との共同作業
   仰臥位にて四肢ごとバスタオルでくるめる
   一人は押さえつけ一人は入れる

  CLのずれ・脱落・紛失
   ハイパワーの主にHCLの宿命(?)
   レンズの保持:lenticularタイプ×デザイン
          上眼瞼とキャリア部の間にできる涙液層がフラットになるように
          →陰圧
  長期管理
   成長とともに明視域を遠方に調整
   遠方視力への要求に応じBCをフラットに

 IOL挿入眼
  若年齢
   IOLの補正…術後近視に変化
   近用度数:EXタイプ、(累進眼鏡)
  年長児
   近用度数:累進眼鏡、累進CL

  眼前1〜2mに焦点を合わせると遠・近とも視力良好
  術後近視化
   10才を超えても続く然を超える近視可
   長期の観察が必要
   視力不良群ほど近視化大
   片眼の手術例では視力良好でも無水晶体眼は有意に近視可

  後発混濁(posterior capsule opacification PCO):YAG不適応例
   PCOは2期的に切除
   術後近視化

 小児における近視化
  小児の白内障術後:屈折矯正の面で近方明視の不良?
  強膜の強度低下→眼軸長↑

  無水晶体眼における近視化の要因
   視力良好では近視進行
    明視域限定によるボケ
   弱視治療中→二重焦点の近用部使用をチェック(EXタイプ)
   視力良好例ならば累進眼鏡・CL


ふきぬけ骨折
 好発部位
  下壁…眼窩下神経溝
  内壁

 開放型骨折…成人
 閉鎖型骨折・線状骨折…子供
  痛み、嘔吐
  筋の絞扼→壊死になることも

 症状
  複視(片目つぶり)
  頭位異常
  眼球運動時痛
  嘔気・嘔吐(迷走神経反射)
  鼻出血
  眼窩気腫による眼球突出
  下直筋…下転・上転×
  下斜筋…回旋障害、頭部傾斜

 診断
  障害の有無+障害後遺の判断
  若年者では画像のみがたより
  眼窩CT

  障害の疑いの場合
   全麻下でFDT・復位
    これで治ることもある
    治らない場合陥頓整復手術
  障害ありの場合
   まず経過観察…自然回復あり
   自然回復ない場合
    FDT
    陥頓整復術
  手術では、眼窩骨壁の整復は行わない

 結果
  斜視の変化
  第一眼位PCTでは両眼視良好のため上下ずれは少ない
  複視小

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