プロローグ

 混濁…虹彩反帰法で観察が有効
  1.浸潤…活動性がある
   @感染性
     角膜中央部
     単発
     円形
   A非感染性
     角膜周辺部
     多発性
     輪部に平行な楕円形
     ◎境界鮮明(とくに角膜中央側)
  2.瘢痕…活動が終わっている

 cf:虹彩反帰法が観察有効なもの
    浮腫
    上皮欠損
    前房内細胞
    KPs、前房蓄膿

T.CL装用者の角膜浸潤

 特徴
  @病巣以外に広範囲に及ぶスリガラス状の浸潤
  A複数の感染病巣…非CLの場合と異なる

 CL装用者の角膜浸潤≠感染症
  純粋な免疫反応〜免疫反応と感染の混合〜純粋な感染と幅がある
   通称"contact lens-induced acute red eye(CLARE)"…感染と言うよりCL汚れによる免疫反応
   CL上の真菌による浸潤は角膜内に感染を成立させない
  治療
   抗菌点眼(+)+ステロイド点眼(−)から開始
   2〜3日経過観察し、やや改善すれば
   感染(−)なのでステロイド点眼を開始


 カラーコンタクト
  色素そのものによる機械的刺激
  酸素透過性悪い、粗悪なレンズあり
  色の効果を出すためサイズが大きいものあり
   周辺部〜結膜に及ぶ上皮障害
  角膜全面〜結膜に及ぶ急性の上皮浮腫・剥離→上皮の”脱落”
   …酸素不足による?

  カラコンとCL上の細菌に角膜障害は複雑
   カラコン…広範囲にわたる表層性浸潤
   CL細菌…広範囲にわたる上皮浮腫・剥離


U.コンタクトレンズ装用者の重症の角膜感染症

 入院を要するもの(全国調査)
  1.26%が20歳代以下

  2.レンズの種類
    2W   56%
    1〜3M 16%
    1DAY  7%(半数は再使用)
    カラー   5%
    ハード   5%
    1W連続  1%
    オルソ   0.6%

    2Wと1〜3M交換レンズはハイリスク

  3.菌の種類
    2大起炎菌
     緑膿菌      70%
      治療の主なターゲットにする
     アカントアメーバ 56%
      2008、2009年をピークに減少中
      カラコンの流行とともに復活もありえる?

  4.月別
    総合すると夏に多発
     緑膿菌…夏(季節性)
     アカントアメーバ…非季節性

  5.消毒剤
    種類
     ほとんどがMPS
     過酸化水素 6%
     煮沸 0.4%

    消毒頻度
     毎日洗うと感染↓
     定期的に洗うと感染↓

    温度のよる菌の増殖とMPSの効果
     コンセプト、ファーストケア
      いずれの温度でも充分な消毒効果
     MPS
      温度が高いとある程度消毒効果が高まる
      細菌培養で温度が高いと菌増殖↑
      総合すると
       温度上昇による菌増殖>温度上昇によるMPSの消毒効果


V.緑膿菌性角膜炎

 緑膿菌
  水さえあれば生きていける
   水周りに存在
   院内感染の主要起炎菌
  接着性が高い
   比較的健常な角膜に感染しうる
  エラスターゼ・プロテアーゼなどの酵素を放出
   角膜浮腫・融解など激しい臨床所見

 緑膿菌性角膜炎
  融解傾向の強い病変
  病巣周辺の角膜浮腫の範囲が広い
  円板状の病巣
  初期治療
   ニューキノロン+アミノグルコシド頻回点眼
   よく反応する
   翌日には減少して、約1週間で瘢痕化
   アミノグルコシド点眼は早めに減量
    2〜3日後から減量し、7〜10日で中止
    長期使うと上皮障害
   その後、ニューキノロンをゆっくり切っていく
  治療の2つのゴール
   @起炎菌を消滅させる
   A視機能を回復させる…長期を要し、角膜移植も

  初期のパターン@
   最初は小さな病巣から始まる
    不整形、”棘状”の辺縁
    病巣が拡大し円板状に
     数時間単位で拡大
  初期のパターンA
   病巣の拡大なし
   周囲の角膜浮腫
   毛様・結膜充血
   視力低下(1.2→手動弁)…一旦どんと悪くなる

  AAOの細菌性角膜炎に対する治療の見解
   治療開始48時間以内に改善がなければ再考
   ただし、緑膿菌等のグラム陰性桿菌は炎症の増悪を見せることあり…ムンテラが必要

  棘状(この時点で治療すれば増悪せず回復)→円板状→(ニューキノロン+アミノグルコシド治療)→一見増悪
コンタクトレンズ装用者の角膜浸潤を見極める

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