アレルギー性結膜疾患の治療戦略

アレルギー性結膜疾患の分類
 増殖性変化(−)
  @アレルギー性結膜炎
  Aアトピー性角結膜炎
 増殖性変化(+)
  B春季カタル
   アトピー性角結膜炎
  C巨大乳頭結膜炎

 予後
  @…良
  AB…角膜病変を伴い不良

T型アレルギーの即時相と遅発相
 即時相
  マスト細胞が脱顆粒
  ヒスタミン、PGD2、ロイコトルエン
  掻痒感、充血、浮腫
  アレルギー性結膜炎
 遅発相
  T cell→好酸球が脱顆粒
  EPO、MBP、ECP
  炎症細胞の浸潤により角膜上皮障害
  春季カタル、アトピー性角結膜炎

季節性アレルギー性結膜炎
 眼脂…白色、糸を引く
  細菌性…黄色、ねばつく
  ウイルス性…眼がくっつく
 好酸球(+)
 治療
  第一選択 抗アレルギー点眼…T型アレルギーに有効、副作用なし
  花粉が多い、症状悪化ならステロイド点眼

抗アレルギー点眼液
 メディエーター抑制剤
  ザジテン…pH4.8〜5.8 水に溶けにくいので酸性液
  リボスチン…pH6.0〜8.0 懸濁液
        点眼15分後から有効
         リザベンに比べ効果発現が早い
  パタノール…pH7.0 水に溶けやすい
 H1拮抗剤…早く効く

花粉症初期療法
 効果に個人差あり
 症状↓発現期間↓
 高感受性群:少しの花粉で反応→初期治療向き
 大量飛散の予測、ワンランクアップ→より多くの人に
 飛散開始日:1cm2あたりに花粉1個が2日連続して観察
  しかし、1cm2あたり1個とは、1m2あたり1万個!
 初期治療は認知度不十分だが効果は88%
 年明け頃から抗アレルギー剤開始、1日2回でも継続すれば効果
 花粉症飛散すれば4回へ

花粉飛散時期の治療
 アレルギー性結膜炎
  抗アレルギー点眼・抗アレルギー剤内服とくに有効
  局所ステロイド・抗アレルギー剤内服とくに有効

  内服は妊娠初期には使用しない

 普通の眼鏡装用で花粉が入る量が1/3に減少
 マスク(立体型、毎日取り替える)も有効
 市販薬
  添加物…付け心地よくするため
  防腐剤…高濃度
   →いずれも接触皮膚炎の可能性を高める
 SCLの上からの点眼
  イオン性SCLにザジテン点眼でfoldがみられた
  点眼液とレンズの相性がある

春季カタル
 石垣状乳頭増殖→組織障害蛋白
 輪部結膜堤防状隆起
 巨大乳頭:リモデリング
 角膜障害
  SPK
  落屑様SPK
  シールド潰瘍
 男性73% 若年者に多い
 左右差はよくある
 治療
  免疫抑制剤(抗カルシニューリン作用)
   パピロックミニ…短期間では改善しないが1ヶ月くらいで改善
           3ヶ月とか半年とか続けることが大事
   タリムス…短期に改善
        重症、急性増悪、アトピー性眼瞼炎合併にはタリムス
        抗アレルギー剤との併用治療が有効
   副作用
    感染症(とくにヘルペス)の悪化がありうる
     眼瞼ヘルペスの既往に注意
    アトピー性皮膚炎でリスクが2倍になる
    角膜ヘルペスが生じればステロイド、免抑は中止

アトピー性角結膜炎
 臨床所見にバリエーション多い
 ステロイド眼軟膏
  フラジオマイシン含有→接触性皮膚炎を起こしやすい
  プレドニン眼軟膏は非含有
  指に薄く伸ばし鏡を見ながら

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