緑内障手術最前線
緑内障インプラント手術の種類
 1.プレートあり
  バルベルト
  アーメド
   両者とも難治性緑内障が対象
    レクトミー不成功
    結膜瘢痕が強い場合
 2.プレートなし
  エクスプレス
   術後早期の合併症(低眼圧)を回避
 3.流出路再建術のインプラント
  日本では未承認
   iStent等

緑内障インプラントの術後診察
 エクスプレス
  前房内での先端を診察
  眼球結膜でのブレブを診察
 バルベルト
  前房内でのチューブを診察
  眼球結膜でのブレブを診察


T.エクスプレス

エクスプレスの禁忌
 ぶどう膜炎
 眼感染症
 重度ドライアイ
 重度眼瞼炎
 ACG
 金属アレルギーの既往

エクスプレスとMRI、CT
 3テスラまでのMRIでエクスプレスの偏位は起こらない
 MRI画像は影響なし
 CT画像に影響あり 金属異物様所見

エクスプレス vs レクトミー(XVT study)
 眼圧下降は同程度
 術後合併症は有意にエクスプレスが少ない
 低眼圧は有意にエクスプレスが少ない
 前房出血は有意にエクスプレスが少ない
 視力低下は有意にエクスプレスが少ない
 受診日数は有意にエクスプレスが少ない
 メタ解析
  眼圧 エクスプレスの方が下がるが優位でない
  低眼圧、前房出血はエクスプレスの方が有意に少ない

エクスプレスとレクトミーの術中・術直後合併症の比較
 術中前房開放時間は有意にエクスプレスが圧倒的に短い
  前房出血は有意にエクスプレスが少ない
  浅前房・脈絡膜剥離は差がない
  前房内の炎症反応は有意にエクスプレスの方がフレア値が小さい

エクスプレス術後の注意点
 虹彩に接触する症例がある(とくに有水晶体眼)
 前房の浅い症例はOAGでも虹彩に接触しやすい
  瞳孔偏位がありうる


U.バルベルト緑内障インプラント

種類
 網様体扁平部挿入タイプ…硝子体腔に挿入
 前房挿入タイプ

レクトミーの予後不良例
 20年成功率は88%だが
  若い症例(40歳未満)は予後不良…線維芽細胞
  ICCE眼は予後不良
   強膜180℃切開、結膜瘢痕
 リスク症例
  レクトミー既往眼(もう一度レクトミー)
  内眼手術既往眼(IOL眼等)

  MMCレクトミー(53%)よりチューブシャント手術(70%)の方が有意に成績が良い


V.アーメド緑内障インプラント

アーメドの特徴
 プレート内に調圧弁があり低眼圧が少ない

アーメド vs バルベルト(AVB study)
 眼圧下降 バルベルトの方が有意に良い
 5年内に16%に角膜内皮障害
 2年で19%の内皮細胞減少
 バルベルトは前房挿入の方が内皮減少しやすい(?)


W.その他

自己強膜弁の菲薄化
 保存強膜では菲薄化しにくい

手術治療 vs 薬物治療(CIGTS)
 薬物治療の方がレクトミーより視機能の維持効果が高い
 薬物治療は眼圧下降が劣るが、視野障害は術後にぐっと大きくなる
 視力はレクトミー術後低下

ブリモニジン(アイファガン)
 チモロールに比べ視野障害の進行を有意に抑制
 眼圧下降は同じだから神経保護作用あり?

眼瞼アレルギー
 点眼中止して手術もありうる

ドルゾラミド+チモロール vs ブリンゾラミド+チモロール
 眼圧下降に差はなし
 ドルゾラミドは視野を有意に改善
  血流速度↑血管抵抗↓

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