乳頭浮腫
乳頭浮腫 disc swelling
 圧迫、炎症、虚血→神経節細胞の軸索流が篩状板で障害

Terminology
 以前は下記が使用されていたが混同されてきた
  うっ血乳頭 papilledema:頭蓋内圧亢進による
  乳頭浮腫 disc edema:総称
  乳頭腫脹 disc swelling:炎症性
  乳頭隆起 disc elevation:非炎症性

 現在は下記のように整理される
  うっ血乳頭 papilledema:頭蓋内眼圧亢進による
  乳頭腫脹 disc swelling:うっ血乳頭以外

診断
 問診
  発症
   急性:AION
   緩徐:うっ血乳頭
  進行
   不変:AION
   進行:視神経炎、LHON
   変動:MS
  疼痛
   頭痛:うっ血乳頭、側頭動脈炎
   眼運動時痛:視神経炎、動脈炎性AION
  既往歴
   副鼻腔炎等
  家族歴
   LHON
 眼底所見
  乳頭の腫れ方、色(赤、白)、出血
  白斑
 視野
  中心暗点、傍中心暗点、水平半盲、マリオット盲点拡大
 視力
 中心フリッカー
 色覚
 RAPD
 OCT
 MRI

 RAPD測定の注意点
  半暗室
  遠方視(近方視をすると近見反応により縮瞳)
  左右均等、すばやく
   若年者:瞳孔動揺あり
  斜視
   眼内に入る光量がかわり疑陽性を呈する
   斜視眼には斜めから光を入れる
  外傷性散瞳
   元々、片眼に瞳孔異常あるとき、反対の健常眼の反応を見る

特発性視神経炎
 眼球運動時痛
  とくに上方視
  眼周囲痛、頭痛を訴えることがある
   ONTT(Optic Neuritis Treatment Trial)では70%頭痛あり
 1〜2週間で視力が最低となり、3週間以内に回復が始まる
 無治療でも治る

抗AQP4抗体陽性視神経炎
 特発性/MS視神経炎
  脱随疾患:oligodendrocyteのmyellinを障害
 抗AQP4
  血管原性浮腫:astrocyteのfoot processを障害(不可逆性)

 比較的高齢者
 女性に多い(女:男=9:1)
 重篤な視力低下
 中心暗点、水平半盲、両耳側半盲
 同名半盲←虚血、視交叉炎、視索炎

 3椎体以上の脊髄・延髄病変
  (膀胱・直腸障害、難治性吃逆・嘔吐)
 ステロイド抵抗性
 高い再発率

 典型的視神経炎と違うと感じられたら疑う

虚血性視神経炎
 視野に水平半盲成分がある
 起床時に視力低下に気付くことが多い(70%以上)
  夜間低血圧、睡眠時無呼吸
 分節性
 出血
 乳頭の蒼白浮腫はあまり多くない。発赤も多い
 小乳頭(disc at risk)
  神経線維が密集しているため虚血が生じやすい
 FA:短後毛様動脈の障害→脈絡膜の充填遅延

Leber遺伝性視神経症
 乳頭発赤
 乳頭周囲毛細血管拡張
 母系遺伝
 若年男性に多い
 片眼発症でもRAPDが目立たないことがる
  内因性光感受性RGC(ipRGC)が保たれる
 11778変異が多い
 予後不良

小脳腫瘍
 うっ血乳頭
 水平視野欠損の場合あり→視神経の虚血

特発性頭蓋内圧亢進症
 以前は偽脳腫瘍と呼ばれた
 若年の肥満女性
 うっ血乳頭と脳圧亢進症状(頭痛、外転神経麻痺)
 脳圧亢進症状あってもMRI正常
  MRVで全身感染症による静脈洞血栓症の除外必要
 慢性的に進行し、視神経が萎縮
 治療:減量、ダイアモックス内服等

 うっ血乳頭があればMRIとMRV検査が必要

偽性うっ血乳頭
 小乳頭→辺縁不整
 乳頭周囲神経繊維層の混濁なし
 出血なし
 FAで漏出なし

浸潤性視神経症
 "不気味な"乳頭腫脹
 網膜出血が散在することもある
 腫瘍細胞が視神経に浸潤
 MRIで視神経腫大とring enhancement
 髄液検査(陽性率は高くない)
 寛解期にも起こりうる(白血病)
 治療:直ちにradiation

サルコイドーシス視神経症
 サルコイドーシスの5%
 (結節性)神経周囲炎や乳頭内病変もありうる
 前房細胞、隅角結節
 全身症状に先行することがある
 MRI:視神経鞘に腫瘤性病変
 ステロイドによく反応、減量で再発しやすい

 cf:
  CRION(chronic relapsing inflammatory optic neuropathy)
   サルコイドーシスや自己免疫性疾患に起因する視神経炎の総称

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