色覚異常の診断と指導
T.色覚異常の分類
赤緑青
●●● 正常3色覚(T)
××× 杆体1色覚(全色盲)(U)
●××
×●× 錐体1色覚(全色盲)(V)
××●
×●● 1型2色覚(第1色盲)(赤色盲)
●×● 2型2色覚(第2色盲)(緑色盲) 2色覚(W)
●●× 3型2色覚(第3色盲)(青色盲)
▲●● 1型3色覚(第1色弱)(赤色弱)
●▲● 2型3色覚(第2色弱)(緑色弱) 異常3色覚(X)
●●▲ 3型3色覚(第3色弱)(青色弱)
U.色覚異常の割合(日本)
2型3色覚(46%) 2型2色覚(30%) 1型3色覚(15%) 色盲・3型色覚は極めて稀
1型は2型より色誤認率が高い
仮性同色表使用時の注意点
石原検査表・SPP1ともに 75cm話して 3秒以内で
V.SPP1
長所
色覚異常者に読める表が多く、心理的負担がとても少ない
石原表より先にするのが良い
1型、2型の分類能力に優れている
デジタル数字で読みやすい
短所
単独では結果判定しにくい
色覚異常が軽微の場合、正常判定になることがある
めくりずらい
結果判定
10表のうち8表以上の正答があれば正常色覚
分類表は1型、2型の読み方のどちらが多いかで判定
正常色覚者や軽度色覚異常者は、しばしば両方の文字を読むことがある
→どちらが読みやすいか聞く(とくに分類型)
W.石原色覚検査表U
長所
検出能力は非常に優れている
めくりやすい
短所
読めない表が多いため、被験者に心理的負担が大きい
保因者も誤読しやすい
小児では数字を判断しずらいことがある
結果解釈のポイント
定められた判定基準どおり間違い数がある→ほぼ確実に色覚異常
正常範囲内の間違い数でも、expected response→色覚異常の可能性大
unexpected responseは不注意、年齢や知能の問題による偶発的な誤り
正答であっても、解答に時間がかかる→色覚異常の可能性大
眼疾患による後天色覚異常がある場合
誤りが多いのにunexpected response
X.パネルD-15
Pass
No errors
Minor errors
One error
Fail
色相環を横切る誤りが1往復以上ある
結果解釈のポイント
色相環を横切らない誤りはPass
中等度異常者は、長い時間迷っていることがよくある
Y.パネルD-15でのirregularな検査結果の解釈
可能性
検査を理解していない
集中できていない
色覚が未発達→数年の期間をおいて再検
心因性視覚障害
無造作に並べていくことが多い
視力低下や態度からも疑われる
環境条件が満たされていない
自然昼光 300lx以上
カウンセリング
小学生ではよくあることです
成長を待って再検査しましょう
日常生活では困りませんが家庭では穏やかに見守り観察してください
学校には配慮をお願いしておきましょう
Z.色覚検査の総合判定
仮性同色表で異常、パネルD-15でFail
強度異常
パネルD-15で1型と2型の分類推定可能
unexpected responseが多く、D-15の並べ方が非典型→後天色覚異常疑い
仮性同色表で異常、パネルD-15でPass
軽度〜中等度
仮性同色表での誤りが判定より少ない、パネルD-15でPass
微度の異常か正常
expected response→微度色覚異常を疑う
[.後天色覚異常の検査
石原検査表
SPP2
パネルD-15
\.後天色覚異常の主な原因疾患
脈絡膜疾患
糖尿病網膜症
CSC
RP
黄斑ジストロフィ
視神経疾患
緑内障
視神経炎
エサンブトール視神経症
遺伝性視神経疾患
正常色覚者
加齢
心因性視覚障害
].先天赤緑色覚異常の混同色
1.赤と緑
2.オレンジと黄緑
3.緑と茶
4.青と紫
5.ピンクと白・灰
6.緑と灰・黒
7.赤と黒
8.ピンクと水色
1〜8 1型色覚
1〜6 2型色覚
]T.小学校での色誤認
黒板:赤の読み取り
赤−白、黄―緑、赤―青
ホワイトボード:赤―黒
]U.指導の目安
パネルD-15 Fail…強度色覚異常
日常生活は困らないが、色誤認の頻度は案外多い
本人が自覚し、適宜、対策を講じるように促す
状況により周囲の配慮が必要
パネルD-15 Pass…弱度色覚異常
業務も学業もほとんど困らない。学校での配慮はほぼ不要。
極めて微妙な色を扱う際には支障をきたすこともある。
1型色覚…赤を暗く感じる
赤の警告表示や電光掲示板などでは注意する
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