加齢黄斑変性の治療と現状
疫学
患者数 約3万人
50歳から増え始め、60歳以上の男性に多い
失明原因の第4位
欧米だけでなく、日本でも増加傾向
AMDの自然経過
1年で視力は確実に低下
AMDの分類
1.前駆病変
1)軟性ドルーゼン…直径63μm以上が1ヶ以上あればAMD
(視神経乳頭縁の網膜静脈根幹部径が125μm)
2)色素上皮異常
2.加齢黄斑変性
1)滲出型加齢黄斑変性
特殊型 @ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)
A網膜血管腫状増殖(RAP)
2)萎縮型加齢黄斑変性
AMDの診断基準
年齢50歳以上の症例において、中心窩を中心とする半径3000μm以内の領域に以下の病変が見られる。
1.前駆病変
1)軟性ドルーゼン…直径63μm以上のものが1個以上
(視神経乳頭縁の網膜静脈根幹部径が125μm)
2)網膜色素上皮異常
網膜色素上皮の色素脱失、色素沈着、色素むら、小型の漿液性網膜色素上皮剥離(直径1乳頭未満)
2.滲出型加齢黄斑変性
主要所見:以下の主要所見の少なくとも1つを満たせば確診とする
1)脈絡膜新生血管
検眼鏡所見、蛍光眼底造影によって診断
検眼鏡所見:網膜下に灰白色または橙赤色隆起病巣
蛍光眼底造影:FAまたはIA所見に基づく
2)漿液性網膜色素上皮剥離
直径1乳頭径以上。脈絡膜新生血管を伴わないものも含める
3)出血性網膜色素上皮剥離
大きさを問わない
4)線維性瘢痕
随伴所見:以下の所見を伴いことが多い
1)滲出性変化
網膜下灰白色斑(網膜下フィブリン)、硬性白斑、網膜浮腫、漿液性網膜剥離
2)網膜または網膜下出血
眼底に上記のような所見を認めたら、視力が1.0あっても、AMD専門医に紹介
滲出型AMDの治療
PDT:ビスダイン+非発熱性レーザー
AMD全体の3割、PCVに限れば5割で視力改善
AMDに対するPDT
1年後の自覚変化
自覚的な視力改善 3割
中心暗点、変視症の改善 5割
1年後の視力変化
改善25% 不変55% 悪化20%
薬物療法(抗VEGF療法)
ルセンティスの場合
ANCHOR study : Predominantly classic CNV 12ヶ月で+11.3文字改善
MARINA study : minimally classic CNV+occult with no classic CNV 12月で+7.2文字改善
日本のある大学病院での結果
・Typical AMD,PCVともに3割の症例で視力悪化
・occult,PCVの方がPredominatly classic CNVに比べて、漿液性網膜剥離の残存した症例が多かった
・↑硝子体内に投与されたルセンティスがPE下に浸透しにくいからであろう
・アメリカのstudyより結果が悪かった
日本人には効きにくい?
経済的なこともあり、きっちり投与するのが難しい
術後下記症状の増悪があれば、視力の変化が無くても、治療実施病院へ再紹介
漿液性剥離
出血
網膜色素上皮剥離
硬性白斑
黄斑浮腫
Copyright © Sugimoto Ophthalmic Clinic All Rights Reserved.