加齢黄斑変性症 最近の進歩

T.加齢黄斑変性症とは

AMDとは
 PED、ブルッフ膜のaging
 ドルーゼン、PEDの変化→地図状萎縮、CNV、PED剥離、瘢痕病巣

黄斑の定義
 中心窩を中心とする半径3mm(3,000μm)
 Cf:乳頭直径 1,500μm
   視神経に入る静脈径 125μm

AMDの疫学
 日本人(久山町研究…nは大きくない)
  滲出型 50歳以上の約0.7% 男>女
  萎縮型 50歳以上の約0.1〜0.2%
 白人
  40歳以上の1.64%
  50歳以上の2.06%
  …日本人は白人の半分の頻度

 滲出型は日本全体で50万人

 AMD 
  多因子疾患(複合疾患)
   遺伝因子:CFH遺伝子多型
        RA1遺伝子多型…日本人の15%にある
         両親から受け継ぐと約7倍
         片親から受け継ぐと約4倍の発症率
   環境因子:◎喫煙、光暴露、生活習慣
        遺伝因子なくても発症あり

AMDの分類法
 1.萎縮型と滲出型
    萎縮型のOCT:PED萎縮、choroidal signal enhancement
    滲出型のOCT:無〜中等度反射…CNV
 2.国際分類
    視力異常(−)、早期:加齢黄斑症(軟性ドルーゼン、PE異常)
    視力異常(+)、後期:AMD
     地図状萎縮=萎縮型AMD
     新生血管黄斑症=滲出型AMD
      @CNV
      APED
      B円盤状瘢痕病変
      どれか1つ証明できればAMD(日本と違う)
 3.厚労省調査研究班分類
   1.前駆病変
      @軟性ドルーゼン
      APE異常
   2.AMD
    1)滲出型
       CNV
       滲出性/出血性PED
    2)萎縮型
       繊維性瘢痕
   サブタイプ
    狭義AMD
    PCV
    RAP…神経網膜内にNV

   AMDは基本的にはType2(色素上皮を越えて網膜下の新生血管)
   近視性CNV、特発性CNV…Type1(色素上皮下の新生血管)


U.臨床像の変化

AMDサブタイプの頻度
 狭義AMD 35% 男、片眼が多い
 PCV   55% 男、片眼が多い 狭義AMDより5歳位若い
 RAP    5% 女、両眼が多い 高齢者も多い

他眼のドルーゼン
 狭義AMD 30%
 PCV   24%
 RAP   78%

3年間で、PCV↓ RAP↑…臨床像の白人化

視力良好、病型分類不能例↑

Large soft drusen…ハイリスク
 125μm以上
 ビテリフォルム・ドルーゼン…Best病
 クティックラー・ドルーゼン

網膜色素上皮が悪い…Adult Bestに近い状態
 白人では多かった


V.ドルーゼンと萎縮型AMD

ドルーゼンの重要性

ドルーゼンの分類
 @Soft drusen under RPE
   OCT:drusenの内容は無反射ではなく内容物に高輝度の密度あり
 Acuticular drusen punctate under RPE
   FA:Stars in the sky
   OCT:小さくて突き上げる形(vitelliform detachment)
    その部位の色素上皮が傷むから
 BSubretinal drusenoid deposits above the RPE
   Reticlar (pseudo)drusen
   広義AMDの20%にあり
   RAP、dryAMDに多く、PCVに少ない


W.治療方針

治療対象となる病変かどうか
 @萎縮型は治療対象ではない
 Adryとwetは連続した病態
 BwetAMDは直ちに治療
 C漿液性PEDの問題(どうするか難しい)
   小さなPED(1Disc以下)は治療対象ではない
    日本では1Disc以下の漿液性PEDをwetAMDに入れない
   大きなAMDはwetAMDに区分されるが、CNVが検出されない症例では治療の判断が困難
   PCVへのPDTは大出血が引き起こされることがあり予測不能

PDTの現状
 単独治療はしない
 PCVには抗VEGF薬との併用が有効
 1st choice ではない(補助的に使う)

抗VEGF薬
 マクジェン…6週有効(今はあまり使用されず)
  切れ味はルセンティスに劣る
 ルセンティス…近視CNVには保険適応なし
  白人の10%に Subfoveal geographic atrophy
 アバスチン…ルセンティスと同効果?(CATT Study)
  合併症:無菌性眼内炎
       何もしなくてよい
       一定の頻度で必ず起こる
 VEGF Trap-Eye…合成蛋白(抗体ではない)
  8週有効(12週治験中)

抗VEGF療法の原則
 導入期…必ず4w毎3回投与
 維持期…必要に応じて投与
      OCT、視力で評価
  
ルセンティスの維持期で投与回数の違いによる予後(ノバルティスの資料)
 月1回投与→視力↑
 必要に応じて投与→視力↓
 3ヶ月毎投与→視力↓





  
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