角膜疾患の手術適応
1905 最初の全層角膜移植成功
当初、さまざまな縫合法が試された
角膜
上皮…バリア、ムチン分泌、防御
実質…透明構造維持、免疫
内皮…ポンプ機能(透明性を維持)
輪部幹細胞
体内でも特殊な存在
幹細胞は本来酸化ストレスに弱い
輪部は紫外線、酸化にさらされる過酷な部位なのに奇跡的
角膜内皮
増殖しないのに100年以上存在
移植後も存在するので、寿命は200年位か
角膜疾患 治療戦略へのステップ
角膜疾患手術適応と術式の選択
1.所見を把握
1)混濁部位
@浅層/深層/全層
A境界明瞭/不明瞭
B限局性/びまん性
2)混濁の実体
@細胞浸潤の有無(炎症?免疫?)
A瘢痕
B浮腫
実質…内皮機能↓の場合必発
上皮
C異常タンパクの沈着
格子状角膜変性症
実質の浅層〜深層の境界明瞭な混濁
境界明瞭→移植は不要
斑状角膜変性症
実質全層のびまん性混濁でコントラスト感度
実質全層かつびまん性→移植
2.視力低下の原因をさぐる
1)角膜混濁が原因?
@瞳孔域に混濁があるか?
Aびまん性?限局性?
B不正乱視?…高次収差
C他疾患因子…白内障、黄斑疾患
アベリノ角膜変性症
顆粒状病変…混濁塊とその間の淡い混濁
前眼部OCTにて限局性→PTK
不正乱視の評価法
・形状解析
円錐角膜
感染後
顆粒状角膜変性症でも上皮混濁のみ
・ハードCL視力
HCLで矯正視力が改善→不正乱視
3.治療方針を決める
1)角膜手術が必要か?
高齢者の白内障合併例はまず白内障手術
2)角膜移植が必要か?
PTKですむ例もある
パーツ移植でもよい?
外科治療
PTK
利点:侵襲少ない
屈折への影響少ない
保険適応がある
欠点:100μmしか切除できない
PKP
実質混濁がすべて取れる
侵襲大きい
ドナー角膜が必要
*アベリノ角膜変性症に対するPTK…よく視力が出る
白内障(+)→先に白内障手術
(−)→PTK、改善しなければ白内障手術
淡い混濁が取れれば視力↑
角膜移植
100μより深い混濁
内皮不全
幹細胞不全
角膜パーツ移植
PTK
上皮移植
輪部
培養上皮細胞
実質
LKP
DALK
内皮
DSEK
DSAEK
DMEK
角膜パーツ移植が発展した背景(1)
必要な組織しか移植しない
より少ない侵襲の手術
術後屈折の改善
透明治癒≠患者満足
角膜パーツ移植のキーワード:「低侵襲」「連続性」
1.低侵襲
小さい創口
最小限の組織破壊
→創傷治癒反応を最小限に抑える
defaltはfibrosis
2.連続性
前眼部には多くの連続性を持つ面が存在
眼瞼→結膜→輪部→角膜
角膜パーツ移植が発展した背景(2)
機器の発達…マイクロケラトトーム、人工前房、フェムトセンカンド
再生医療
角膜全体の再生は技術的に困難
T.角膜上皮疾患
手術適応
幹細胞障害
角膜内皮障害+熱傷
SJS
cf:輪部幹細胞機能不全の評価
結膜化(血管侵入)
F染色
Impressin cytology
手術禁忌
極度ドライアイ(シルマー<5)
重度の眼瞼異常
角膜上皮幹細胞移植
膠様滴状角膜変性症
2次的脂肪沈着
深層層状角膜移植+薄切輪部移植
層状移植はドナーとレシピエントの接着が悪い
SJSでも
培養上皮シート移植
適応:実質混濁が全くない症例…実際はあまりない
問題:限られた施設
長期予後不明
視力改善が限られている
U.角膜実質疾患
手術適応:視力低下の原因が他にない
他の対症療法がない
円錐角膜
角膜変性症
コンタクトレンズ不耐症
術式
1.層状
LKD
2.深層層状
DALK
層間に混濁がない
実質層間の接着がより強い
Big-bubble technique
合併症:二重前房→デスメ膜に穴(デスメ膜穿孔)
空気タンポナーデ可
PKP vs DALK
視力:有意差なし
内皮減少:DALKでは→、PKPでは↓
V.角膜内皮疾患
手術適応:水泡性角膜症
上皮だけでなく全層が浮腫になってくる
早期なら適応あり
決してPKPに劣らない
手術:ドナー角膜は内皮細胞を含む深層実質を移植
日本人
Fuchsは少ない
LI、水泡性角膜症による内皮不全が多い
内皮は混濁しないのでデスメ膜を剥離する必要なし?
→n−DSAEK
DSAEKとn−DSAEK
内皮減少はn−DSAEKの方が少ない(?)
矯正視力に差はない
残したデスメ膜は混濁しない
PKPとDSAEK
DSAEKは再手術が可能
視力はDSAEKの方が良い
不正乱視が少ない
DSAEKの適応
有水晶体眼…まず白内障手術
偽水晶体眼…実質混濁が強い症例
DSAEK後、再n−DSAEKも可
PKP後の水泡性角膜症にn-DSAEK可
DMEK
ドナーのデスメ膜のみ移植
視力回復は早い
手技は困難
少なくとも日本では、術後1年までn−DSAEKで差なし
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