ドライアイ 診断と治療
涙液分泌のメカニズム
Reflex loop
@眼→(瞬目の刺激)→脳
A脳→(分泌の指令)→涙腺
B涙腺→(分泌応答)→眼
@の障害
角膜への手術…LASIK、角膜移植、ECCE
糖尿病、神経麻痺性角膜症(脳神経外科手術)
βブロッカー・NSAID等の点眼
CL装用
Aの障害
抗コリン作用薬内服(向精神薬、抗うつ薬)
ストレス
Bの障害
シェーグレン症候群・RA等の膠原病
GVHD
ストレス
眼表面の炎症
cf:CLはドライアイになりやすい
@瞬目刺激↓→分泌↓
A蒸発↑→貯留↓
ドライアイの診断
1.症状:自覚症状
2.涙液の異常
@シルマー
ABUT
3.角結膜上皮障害
@フルオレセイン染色スコア
Aローズベンガル染色スコア
Bリサミングリーン染色スコア
各3点以上/9点
1,2,3すべて…確定
1,2,3の2つ…疑い
BUT
ドライアイ検査で最重要
BUが早い→上皮障害につながる
BUが早期に生じる部位で上皮障害発症
Tear Meniscus の高さ
正常値 0.2〜0.3mm
フルオレセン染色の重要事項
最少液量で染色する
液量でTMHが変化
液量多いと上皮障害を見えにくくする
染色法
@試験紙に2滴つける
A試験紙をよく振って十分に水分を切る
Bメニスカスのエッジに軽く触れて染色
注:結膜に触れると刺激→涙↑
角結膜障害
ドライアイの2パターン
@SPK
APatchy pattern→ドライアイと診断できる
紡錘状にいくつも出る
初期は角膜下方1/3から始まる
角膜≦結膜上皮障害
ドライアイの上皮障害のほとんどは瞼裂間!
結膜上皮障害が先行
薬剤毒性角膜症:角膜>>結膜
角膜上皮障害が先行
角結膜を同時に判定することが大事
結膜上皮障害
F染色直後でないと判定困難
バックグランドが強膜のため障害が不鮮明
観察法
ブルーフリー(バリア)フィルター
Topcon Sharp Cut Filter(yellow)
Zeiss イェローバリアフィルター
F染色+ブルーフリーフィルター→時間がたっても鮮明
ドライアイの治療
1.内科的
点眼
@人工涙液
Aヒアルロン酸
Bジクアス、ムコスタ
*ときにはステロイド(フルオロメトロン)
米ではサイクロスポリン点眼
2.外科的…涙点閉鎖
@涙点プラグ
A手術
*補助治療
ドライアイ眼鏡
エアコン調節
加湿器
パソコン↓
コンタクトレンズ↓
軽症…点眼で十分
重症…外科的治療
ジクアス点眼液
2Y2受容体アゴニスト
膜ムチン・分泌型ムチン・涙液↑
cf:メニスカスの有意な増加を維持する時間
人工涙液 1分
ヒアレイン 5分
ジクアス 30分
軽症例に効果が高い
効果の判定には2ヶ月経過を見る
1st choice …ヒアルロン酸よりも良い
Dual effect…水分↑ムチン↑ だが眼脂も↑
しみる 15%
ヒアルロン酸点眼液
タンパク質なし
二糖が多数…ムチンに似る
水分がないと効果は低い水分量がある程度あれば効果的
さし心地は良い
ムコスタ点眼液
胚細胞↑ ムチン↑
苦味、懸濁液のためかすみ
ムチン
従来
眼表面のムチン=胚細胞由来ムチン
現在
角結膜上皮細胞はムチンを産生(胚細胞以外にも)
眼表面ムチン=胚細胞+角結膜上皮由来
高分子量の糖タンパク
コアタンパクの部位ではある一定のアミノ酸が繰り返しTandem repeat
膜型ムチン…角結膜上皮
分泌型ムチン…胚細胞由来
角結膜上皮
MUC1,15,4 …microvilli
涙点プラグ
シリコン製
長所
高い効果
涙液、BUT、角結膜障害すべて改善
短所
涙点部の腫脹、肉芽の形成(パンクタルプラグ)
バイオフィルム形成(パンクタルプラグ)
プラグ脱落(種類により留置率に差がある)
脱落による涙点の拡大
選択するプラグの種類、大きさにより治療効果が異なる
留置率
パンクタルF>スーパーイーグル>…
涙点径…計測で留置率↑
計測実施率 18施設で4施設(少ない)
計測が煩雑、手間がかかる
MANDELKORNはCoroneoより簡単
スーパーイーグルの場合
L 0.8〜
M 0.6〜0.8
S 0.4〜0.6
パンクタルプラグF
0.5〜0.8
パンクタルプラグSS
〜0.4
パンクタルプラグL
1.0〜
涙点閉鎖
1.シリコン
2.液体コラーゲン(キープティア)
アテロコラーゲン
オーストラリア製
BSB非危険部位
形成外科、皮膚科で使用されていた
冷所保存
使用15分前に室温に戻す
上下涙点両方から入れて涙小管すべてを満たす
瞬目を抑制してゲル化を促進させる
cf:『あずきのチカラ』温める→涙小管温度上昇
どの涙点の大きさでも可能
はずれない
涙点への影響がない→大きくなったりしない
1〜2M効果持続
留置されているか視認できない
涙点・涙小管の閉鎖性
シルマー値:キープティア 2.2mm↑<プラグ 5.3mm↑
適応…シリコン製と区別して使う必要有り
○一過性の術後ドライアイ(LASIK、IOL等)
○軽度のドライアイ
○シリコン製プラグに移行のステップ(体験)
・涙点が非常に小さい・大きい
・シリコン製が使えなくなった症例
外科的涙点閉鎖
シリコンプラグ閉鎖率↑のため手術↓
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