Dynamic Retinoscopy

レチノスコープ…開散光で観察するのが基本

T.背景−弱視の種類と治療

 視力の発達曲線
  生後視力 0.02
  4〜5歳で大人に近い視力になる
 視力発達の感受性
  1歳頃がピークで、6〜8歳で終了(粟屋説では)

 弱視の種類
  @形態覚遮断弱視…角膜混濁、先天性白内障、眼瞼下垂、眼帯
  A斜視弱視…複視を防ぐため像の抑制
  B不同視弱視…遠視、像のボケ
  C屈折弱視…両眼の強い乱視、像のボケ

 弱視診断のフローチャート
  斜視があるか→N…弱視なし、立体視OK
        →Y→間歇性か→Y…弱視なし、立体視OK
               →N→交代視可能か→Y…弱視なし、立体視なし
                        →N…斜視弱視

 弱視の治療
  原疾患の治療+1〜6時間/日の健眼遮蔽


U.原理−Dynamic Retinoscopy のしくみ

 static retinoscopy 静的検影法…調節麻痺させ屈折度を調べる
 dynamic retinoscopy 動的検影法…調節を調べる、他覚的調節検査

 Retinoscopy
  ∞遠方から観察したならば
   逆行→近視、中和→正視、同行→遠視
  50cmの距離で+2Dの板付きレンズで、∞遠方からと観察と同等

 屈折検査の同時再現性
  調節麻痺下のオートレフが最も高い…ゴールドスタンダード
  調節麻痺しなければ、オートレフとレチノスコープは同等

 Dynamic Retinoscopy
  板付きレンズが不要
  調節麻痺剤点眼が不要
  調節視標が必要
   高コントラスト、高空間周波数の物を見ると眼は自然と調節を行う
   具体的には、くっきりとして細かい視標(小さなおもちゃ等)

 確認すべき理想形
  上下・左右方向とも
  両眼中和
  角膜中央に反射

 理想形が物語る5項目
  1.中等度(−3D)以上の近視がない
  2.眼鏡矯正が必要な遠視がない
  3.不同視がない
  4.近見で斜視がない
  5.中間透光体に混濁がない

  スクリーニングの意義
   1,2:屈折性弱視
   3:不同視弱視
   4:斜視弱視
   5:形態覚遮断弱視

   以上をrule outできれば、ただちに治療必要な異常がない


V.実践−スクリーニングの実際

 近視
  中等度(−3D)以上の近視があれば逆行
   20cmの距離で同行
    -100/20=-5Dの近視
   10cmの距離で同行
    -100/10=-10Dの近視
 遠視
  眼鏡矯正が必要な遠視度数
   +2D〜+3DならばDynamic Retinoscopyで決定できる
 不同視
  片眼中和、片眼同行→遠視性不同視弱視が疑われる
 斜視
  両眼中和でもHirschbergで反射が角膜中央にない→斜視疑い
  両眼同行、Hirschberg正常
   →偽斜視を疑いたくなるが、視標をしっかり見ていない場合がある
    しっかり見ると斜視になるかもしれない
    調節麻痺剤による屈折検査が必要
 先天性白内障、眼底疾患
  徹照像の異常


 調節ラグ
  通常<0.5D
  近見時に多くなる
  健常者でも調節ラグにより同行することあり
  Nott Dynamic Retinoscopy
   2〜3cm視標を患者側に移動→中和…生理的な調節ラグ
               →同行…異常
   3D→2Dで中和なら1Dが調節ラグ

 Dynamic Retinoscopy の魅力
  1.板付きレンズが不要(高い成功率)
  2.他覚的検査
  3.弱視スクリーニングに必要な情報を一挙収集
  4.30秒以内の所要時間ですむ
  5.観察者は自分の目で直接確認
  6.設備投資は最小

 Dynamic Retinoscopy の応用
  視力評価(屈折矯正下)
   中和の患者
   近見 +1.5Dで同行、+2.0Dで中和→addは+2.0D
  乳幼児の視機能異常のスクリーニング
   最低限、Dynamic Retinoscopy +眼底検査





 
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