光凝固の適応と限界

正しい凝固班を得るための基礎的な知識
1)凝固装置の焦点方式
   Defocus方式(焦点ずらし)…大きめの凝固斑、前眼部のパワー密度が高い
   Parfocus方式(同焦点)  …小さめの凝固斑、前眼部のパワー密度が低い
   新しい焦点方式(シュアスポット等)
    前眼部のパワー密度が低く、大きめの凝固斑が得られる
2)設定凝固斑の信頼性
    凝固斑の均一性は機種により異なる
3)前置レンズ
   広視野レンズで設定径を大きくしすぎると、前眼部への影響大
4)黄色着色IOL
   20%弱のレーザー光がカットされる

1.網膜裂孔に対するPC

網膜剥離の年齢分布
 20歳位と60歳位の2峰性
網膜裂孔の発生頻度
 成人の約1%
網膜剥離の発生率
 1人/1万人/年
危険度の高い網膜裂孔
 ・弁状裂孔
 ・多発裂孔
 ・大きい裂孔
 ・網膜剥離の多眼の裂孔
   10%に網膜剥離
   無処置の裂孔の25〜30%→網膜剥離
   格子状変性治療で網膜剥離の危険性↓

 1)PCの適応
  @絶対適応
   ・飛蚊症、光視症など症候性弁状裂孔
   ・多眼に網膜剥離の既往のある網膜円孔
  A比較的適応
   ・多眼に網膜剥離既往のない網膜円孔
   ・多眼に網膜剥離の既往のある網膜格子状変性巣
  B禁忌
   ・既に網膜剥離の存在する裂孔
   ・眼球打撲直後の壊死性網膜裂孔necrotic break
     受傷後1週間経過を診て低出力PC
 2)PCの限界
    白内障、硝子体出血などの眼底透見不良例
    網膜剥離存在例
    網膜硝子体牽引が非常に強い例
 3)術後経過観察
    網脈絡膜癒着の完成には2週間以上かかる
    新裂孔形成は1ヶ月後くらいにおこりやすい
    →術後2〜3週間は1週間毎の経過観察が必要
    その後、macular puckerの発症にも注意


2.糖尿病網膜症に対するPC
 1)適応
  @日本
    NPA、PDR
  A米国
    非常に重症なnon-PDR
    選択的PCの概念は無い
 2)網膜症の進行阻止を目的としたPC
    小さなスポットサイズで行った疎なPCは効果が無い
    過剰凝固→視野狭窄
    汎網膜PC後、黄斑浮腫起こすことも少なくない
 3)黄斑浮腫対策
  @格子状凝固や毛細血管瘤凝固が基本
  ATAテノン嚢下注併用有効例
   ・PC後の黄斑浮腫の軽減
   ・汎網膜PCに伴う黄斑浮腫の予防
   ・毛細血管瘤凝固と併用して
  B限界
    TA併用でも無効な場合は後部硝子体膜が張っている
    →硝子体手術を考慮
 4)血管新生緑内障
    汎網膜PC+アバスチン


3.網膜静脈閉塞症に対するPC
 1)BRVOに対するPC
  @閉塞領域網膜に対するPC
    一般的にBRVOの予後は良好
    50〜60%は無治療で最終視力0.5以上
    予後を決める因子は初診時視力
         ↓
    初診時視力≧0.6 →自然経過をみる

   周辺部に対するPC
    新生血管出現してからPCすればよい
    症例によっては、NPA広範囲ならPC
    硝子体出血を予防する効果あり
  A黄斑浮腫にたいするPC
    格子状PCとTAは同等の効果あり
    ただしPCでは凝固部の網膜感度低下
 2)CRVOに対するPC
  @閉塞領域網膜に対するPC
    非虚血型は経過観察
    虚血型
     新生血管発生→PC
     ハイリスクの虚血型→予防的汎網膜PC
  A黄斑浮腫に対するPC
    格子状PC効果なし
    TA硝子体注で効果あり

    非虚血型
     6ヶ月経過観察→FA
     黄斑浮腫に対して3ヶ月経過観察
    虚血型
     NPAにPC
     黄斑浮腫に対してTA硝子体注、無効なら手術





      
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