T.分類

先天性
 眼瞼下垂以上の異常がない単純型下垂が90%以上

後天性

 腱膜性
  最も頻度が多い
  原因:加齢、内眼手術(とくにレクトミー)、CL(とくにハード)の長期装用

 神経原性
  動眼神経麻痺
   眼球の内・上・下転障害による麻痺性外斜視を伴う
   原因:糖尿病・高血圧症などによる虚血
      散瞳(+):脳動脈瘤を疑い早急に脳外科紹介
      
  Horner症候群
   交感神経の麻痺
    縮瞳(+)
    交感神経支配のミュラー筋麻痺+下眼瞼ミュラー筋麻痺による下眼瞼挙上→瞼裂狭小
   原因:多発性硬化症、縦隔腫瘍など→神経内科紹介

 筋原性
  重症筋無力症
   自己免疫疾患
   日内変動や複視
   MGの初発症状の、70%が眼瞼下垂、50%が複視:最初に眼科受診
   上方注視負荷試験
    1分間の最大上方視で眼瞼下垂が出現・増悪→陽性
   50%で抗アセチルコリン抗体(+)
  筋強直性ジストロフィー
  慢性進行性外眼筋麻痺(CPEO:chronic progressive external ophthalmoplegia)
  など

 外傷性
 機械的下垂
  眼瞼腫瘍や涙腺腫大などに伴い、上眼瞼の重量が増すことで眼瞼の挙上力↓

偽性
 老人性皮膚弛緩
 顔面神経麻痺
 眼瞼痙攣


U.評価と手術適応

1.MRD:Margin reflex distance 眼瞼縁角膜反射距離
 正常値:3.0〜5.5mm
 手術適応:2mm以下

2.挙筋機能(levator function)の計測
 眉毛を動かないように指で固定した状態で、ペンライトで上方視と下方視を指示
 それぞれの上眼瞼縁の位置の差を算出
 正常値:幼児 10o
     20〜30代 15mm
     70代 11mm
 異常値:成人で12mm以下

手術適応
 基本的に患者の希望を尊重
 下垂が原因で上方の視界制限があれば手術適応
 下垂の代償で高度に眉毛を挙上させるため、
  頭痛、眼精疲労、肩こりを生じている場合も検討
 筋原性・神経原性下垂:原疾患治療後に残存する挙筋機能に応じて手術適応
 外傷性:自然軽快も期待できるため半年程度は経過観察





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眼瞼下垂の分類と診断