網膜疾患の薬物治療
−可能性と問題点ー
T.薬物治療が可能になりつつある網膜硝子体疾患
現在治療の主体は外科治療であるが、硝子体手術の対象疾患は増加しつつある。
将来、薬物治療が主体になると思われる。
最近の大規模研究で、薬物治療の有効性が示されつつある。
1)黄斑円孔
薬物(酵素):Microplasmin(脳梗塞薬)
2)抗VEGF薬
AMD…視力改善までも期待できる
大規模研究で有効性が示されつつある
例)視神経乳頭黒色細胞腫
乳頭辺縁部に限局した色素性隆起
通常大きくならないので経過観察
CNVが併発することがある
PDT、PCに比べ抗VEGF薬がよく効いた
長期的な安全性は不明
神経網膜外層は菲薄化する…黄斑変性?
危惧
網膜変性進行と網膜細胞死の併発
地図状網膜萎縮の進行
網膜虚血の増悪
高血圧
脳梗塞…出血の増加
U.CRVO/BRVO
CRVO
男女差なし
頻度 0.1〜0.4%
ただし、その内1%が1年以内に他眼にも発症
5年後には最大7%が両眼性に発症
眼底所見:ERMがしばしば(+)…原因不明
RVO発症危険因子
高血圧症、年齢、ヘマトクリット
日本人は欧米人・他のアジア人に比べ高率
CRVO
血液循環
@虚血型
前眼部NV(ルベオーシス)
一般に10%が罹患
非虚血型…10%以下
虚血型…35%がルベオティック緑内障に
A非虚血型
一般に出血少、初診時視力良好
治療
内科的、外科的あるも決定版なし
CVO study
@PC…非還流型にはNV抑制なし
A格子状PC…3年後浮腫改善するが、視力障害改善はしない
Standard PPV(硝子体切除術)
明らかな有効性なし
CRVO/BRVOの薬物治療
現在は黄斑浮腫改善が目的(対処療法)
tPA
ステロイド
抗VEGF
TAテノン嚢下注射
SCOREstudy
TAテノン嚢下注射はCRVOに有効
しかし抗VEGFの方が有効
自然経過
BRVO
1/3 視力改善
1/3 視力0.5〜0.1
1/4 視力0.1以下
CRVO
無治療で視力は低下
CRVOの治療
ステロイド
TA
オザデックス(眼内ステロイド留置)
ルセンティス…効果大
CRVO、DMEの抗VEGF療法
RVOに対し、抗VEGFはとても有効
CRVO/BRVO…VEGに依存しているため
DME…VEG以外の要因もある
予後
最も確実な要因…初診時視力
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