成人外斜視の診断と治療
1.間歇性外斜視
2.眼球運動麻痺
3.甲状腺眼症
1.間歇性外斜視
間歇性外斜視→斜視>斜位→恒常性外斜視になることがある
大斜視角の場合、非優位眼の内外直筋前後転術
整容面だけでなく、両眼視機能が改善しQOLも改善
たとえ、両眼視機能が改善しなくても、就職や結婚など社会的差別のため必要
高齢者の外斜視
大斜視角が多い(斜位に持ち込める)
手術効果大
MLF症候群を合併している場合がある
2.眼球運動麻痺
原因 @外傷 A血管障害
自然経過 自然治癒率約80%
血管障害では90%、外傷では50%で、50%は手術
自然治癒するまで複視で困る場合、フレネル膜プリズム
麻痺眼(または非優位眼)に
1)動眼神経麻痺
原因 @外傷 A血管障害 … D動脈瘤→ただちに脳外科へ
*動脈瘤 瞳孔所見だけで判断するのは危険
15〜20%だけに瞳孔異常
10数%は後日数日以内に散瞳
分かりにくくても、左右差で分かることがある
麻痺性麻痺では一旦軽快し、その後急激に増悪することがある
2)滑車神経麻痺
・一見、斜視に見えない、複視を訴える患者
・無散瞳眼底カメラで、指標を見させて撮影すると、中心窩が視神経乳頭下縁より
下にある →外方回旋異常
診断
(1)後天滑車神経麻痺
(2)代償不全性上斜神経麻痺
顔面の非対称性増悪
回旋複視の自覚なし
上下偏位高度
幼少時の写真で斜頚あり
治療
全方位での複視の改善は困難
正面視と下方視の改善でQOL改善する3)外転神経麻痺
若年者の外転神経麻痺→先天性脳腫瘍
類上皮腫…視力・視野にまったく異常なし
・運動制限は軽微なことが多く、腫瘍が大きくなってから複視が出ることがある
cf:外転神経…
解剖学上、炎症が波及しやすく腫瘍などの圧迫病変に対し逃げ場がある
動眼神経・滑車神経…
炎症が波及しにくく、圧迫病変に対し逃げ場がない。
・甲状腺機能が正常なことが多い(Euthyroid ophthalmopathy)
・両眼性とは限らない(片眼性が約半数)
・女性に多いとは限らない
甲状腺疾患は女性に多いが、甲状腺眼症は男1:女1.6
重症化は、男性の方がしやすいCopyright © Sugimoto Ophthalmic Clinic All Rights Reserved