角膜ヘルペスの初期対応


T.角膜ヘルペス

原因ウイルス:HSV

上皮型 樹枝状角膜炎
    地図状角膜炎
実質型 円板状角膜炎
    壊死性角膜炎
内皮型 角膜内皮炎
    角膜輪部炎


U.上皮型角膜ヘルペス

樹枝状角膜炎:terminal bulb
地図状角膜炎:dendritic tail…樹枝状病変(terminal bulb)が一部に存在

cf:多発病変:免疫抑制下で生じやすい
marginal herpes:非典型的な病変を呈する

治療:アシクロビル眼軟膏:必ず1日5回で開始
    再発しやすいので、上皮病変治癒後1週間継続。ただし…
 アシクロビル眼軟膏の副作用
  上皮毒性が比較的強い…投与は最長で3週間まで
 治療が奏功しない時
  使用回数が順守できていない
  ステロイド点眼が使用されている
  1週間で改善しなければ角膜ヘルペス以外の可能性…VZVによる偽樹枝状角膜炎など
  アシクロビル耐性株→ガンシクロビル点眼、ヨード点眼


U’.VZVによる偽樹枝状角膜炎

所見の特徴
 病変が小さく、連続性がない
 terminal bulbなし
 フルオルセインの不染色域
 枝分かれが少ない
三叉神経第一枝領域の帯状疱疹に伴って発症することが多い
 皮膚疾患改善後に出現することもある
無疹性帯状疱疹(zoster sine herpete)あり
ACVのVZVに対する効果はHSVの1/10
 眼軟膏のみで治療困難ならACV内服併用


V.実質型角膜ヘルペス

病態:ウイルス抗原に対する免疫反応
病型
 円板状角膜炎
  円形の角膜浮腫
  浮腫に一致したデスメ膜雛壁、KP
 壊死性角膜炎
  血管侵入と強い細胞浸潤
上皮型を合併していることも多い
診断:臨床所見、上皮型ヘルペスの既往、角膜知覚低下などから総合的に判断
治療
 ACV眼軟膏+ステロイド点眼
 急激な減量は再発をきたしやすいため月単位でゆっくり漸減
 上皮型を合併している場合、基本的に上皮型の治療を優先
 実質病変が高度な場合は、最初からステロイド点眼+抗ウイルス薬内服


W.内皮型角膜ヘルペス

病態:HSVの内皮細胞への感染
所見
 周辺部から中央に拡大する浮腫
 拡大する浮腫の先進部にliner KP
虹彩炎や眼圧上昇を伴っていることも多い
診断には前房水PCRにウイルスDNAの検出が必須
治療:ACV眼軟膏+抗ウイルス薬内服+ステロイド点眼





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