神経学的瞳孔異常

0..基礎知識

 副交感神経↑ →瞳孔括約筋↑ →縮瞳

       (→瞳孔散大筋↓)

 交感神経↑  →瞳孔散大筋↑ →散瞳

       (→瞳孔括約筋↓)

 ・実際には、筋力が強い瞳孔括約筋により瞳孔径が決まる。

 ・明室:副交感神経↑ →縮瞳

  暗室:交感神経↑  →散瞳

 

 光  →  中枢   →   瞳孔径

   視覚路    瞳孔運動路

  <入力系>   <出力系>

 対光反射   瞳孔径の左右差

         近見反射(輻輳・縮瞳・調節)

 

1.出力系(遠心路)障害:瞳孔不同

 

   瞳孔括約筋(副交感神経支配)× →明所で散瞳

   瞳孔散大筋(交感神経支配) × →暗所で縮瞳

 

   瞳孔径は明室と暗室で測定することが必要。

瞳孔不同…遠心路経路に限る。

 

瞳孔径の測定

 1)明室での測定…遠方固視、瞳孔計を縦に当て、●で比べる。下から光。

 2)暗室での測定…下から弱い光。直像鏡の光を弱くして、徹照して測る。

 

瞳孔不同

 1)明室で著明となる→縮瞳できない→大きい瞳孔が障害側(副交感神経×)

  @眼瞼下垂、眼球運動×→動眼神経麻痺

  A上記がない場合→瞳孔緊張症(Adie症候群…近見反射で縮瞳する)

  散瞳を伴った動眼神経麻痺…特に若年者、頭痛を合併する場合

  内頚動脈の後交通動脈分枝部動脈瘤→直ちに脳外科へ紹介(緊急)

 2)暗室で著明となる→散瞳できない→小さい瞳孔が障害側(交感神経×)

  Horner症候群…眼瞼下垂(軽度)を合併

 

生理的瞳孔不同

 @暗所で20%が0.1mm未満〜0.4mmの瞳孔不同がある。

 A明所で20%にある。

 B0.6mm以上の差は非常に稀。

C    明所・暗所で差がない。

 

denervation supersensitivity(脱神経性過敏)を持つ

自律神経では神経が障害されると、その後作動薬に対して過敏性を持つ

例)点眼薬:通常縮瞳・散瞳しない濃度で縮瞳・散瞳を生じる

 

(両)緊張性瞳孔

対光反射減弱

近見反射は対光反射より顕著

近見反射後の再散瞳が著しく遅い(緊張性の語源)

 

Adie症候群

 緊張性瞳孔に深部反射減弱したもの

 

2.入力系(求心路)障害:対光反射異常

視入力の低下による(近見反射がより強い縮瞳をきたすため)

(両)視神経症、(両)重篤な網膜疾患

 

   直接・間接対光反応↓

   相対的入力瞳孔反射異常(RAPD)

 

   対光反応の見方

    (半)暗室、光を横あるいは斜め下より入れる。量と速さを見る。

   RAPDの見方…Swinging Flash Light Test

        暗室で遠方固視。3〜5秒間当てて、すばやく他眼に。

    正常であれば、強く縮瞳した後に少し散瞳し安定する。

    1眼の出力系障害(散瞳状態)であっても判定できる。

 

3.中枢障害:対光反応と近見反応の乖離

   Light-Near-Dissociation(LND)…対光反応(−)近見反応(+)

 

中脳の吻側の障害

Argyll Robertson瞳孔…縮瞳を伴う

      DM、MS、神経梅毒、慢性アルコール依存症

     中脳背側症候群

      後交通動脈分枝部付近を圧迫する腫瘍(松果体腫瘍等)…複視を訴える

 

 

   近見反射の見方

    ・明所でも可

    ・視標を5030cm手前から少し下方より近づける。

    ・しっかり視標を固視してもらう()

    ・暗室なら再散瞳を見る。






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