ぶどう膜炎診療の実際
1.診断・検査のポイント
頻度
・3大ぶどう膜炎(サルコイドーシス、Vogt-小柳ー原田病、Becet病)…25%
・感染性ぶどう膜炎…15%
・原因不明…40%
もし、ちゃんと検査してわからなければ、レコードと共に自信を持って
「わからんぶどう膜炎」と診断する。
「検査済みぶどう膜炎」ということ
検査のポイント1
採血セットは項目を絞り、あくまで補助ツールとして使う。
(これだけで診断するのは困難)
検査のポイント2
最高頻度(13%)のサルコイドーシスを落とさないようにする。
サルコイドーシスの臨床診断基準(眼科で可能なもの)
1)両側肺門リンパ節腫脹
2)血清ACE血清高値
3)ツベルクリン反応陰性
4)
5)
6)血清あるいは尿中カルシウム高値
上記のうちの2項目以上
*胸部レントゲンとツベルクリン反応はするべきということになる。
検査のポイント3
ステロイド抵抗性の症例は生検を検討する。
・眼内悪性リンパ腫
・アクネ菌による遅発性眼内炎…前房水PCR
検査のポイント4
診察をこまめにして、しっかり経過を診る。
例)Becet病は症状だけで診断する。
=経過を診て初めて診断可能
Becet病眼症は放置しても寛解するのが特徴
診断が付かなくても治療は可能なので、気長な気持ちで診る
(診断は1日して成らず)
必要以上に不安を与えず、多少の炎症はOKとする寛容さも必要
2.治療のポイント
ぶどう膜炎の治療
主たる目的…過剰な眼局所炎症の抑制
基本:ステロイド薬の局所投与+散瞳剤による瞳孔管理
ステロイド全身投与
適応は慎重に、使うと決めたら十分な量を
本当に局所投与では不十分なのか
全身投与の可否(感染症等悪化の危険性はないか)
最低でも、プレドニン20〜30mg/日以上
(中途半端な使用は意味がない)
効かないときは、もう一度他の疾患を考慮
適応…Vogt-小柳ー原田病
相対適応…サルコイドーシス
慎重適応…わからんぶどう膜炎
感染性ぶどう膜炎(使用はありうる)
原田病のステロイド全身投与
大量漸減投与法
最終的には3〜6ヶ月投与
パルス投与法(これも漸減投与法)…入院期間短縮が目的
最終的には3〜4ヶ月投与
再発型原田病
全く別の病気…予後不良
再発型に移行させてないように努力する
サルコイドーシスのステロイド全身投与
重症虹彩毛様体炎等に
初期プレドニン30〜40mg/日、重症では60mg/日から開始
ケナコルト後部テノン嚢下注、硝子体手術によりステロイド全身投与は減っている
Copyright © Sugimoto Ophthalmic Clinic All Rights Reserved