当院の緑内障診療
緑内障とは
網膜の神経細胞は年齢とともに徐々に減少していきます。
緑内障は、その減少する速さが速すぎる病気です。
生後は皆同じ数だけ網膜の神経があります。
おそらく老化が始まる頃(緑内障では生後??)から、網膜の神経は加齢とともに徐々に死んで減っていきます。
しかし、その速度はごくゆっくりのため死ぬまで十分な網膜の細胞はあります。
しかし、この神経が死んでゆく速度が速い方がいらっしゃって、これが緑内障です。
その速度は同じ緑内障でもそれぞれ異なります。
発症年齢が違ったり、軽い方・失明する方と重症度が異なるのはこのためです。
緑内障の治療は、まず点眼、それで不十分な場合は手術です。
手術は眼圧を下げるもので、神経を回復させるものではありません。
緑内障で最も成功した治療とは、神経の減る速度を健常者と同じ速度にできたということです。
上の図で言うと、神経の減る傾きを健常者と平行にできた場合です。
この図を見ると、緑内障では、早期に発見し、治療を根気よく続けるということが重要だとお分かりいただけると思います。
当院での緑内障治診療目標
人生百年時代を迎えました。
上の図のように、その方が100歳時にどのような眼になっているかを推測しながら、一生、物が見えることを目標に診療いたします。
具体的な治療指針
初診時の検査で、その方の年齢と状態で、100歳時にどうなっているか推定します。
100歳まで大丈夫そうな方は、当院で診療しつつ、想定以上の悪化があれば、緑内障の専門機関へ紹介させていただきます。
そうでない方は、初診時で、緑内障を専門にしている医療機関を紹介させていただき、共同で診療に当たらせていただきます。
紹介の目的は2つあり、1つは今後の治療方針を仰ぐことです。
もう1つは将来手術適応の有無を判断しなければならなくなったとき等に、重要な判断材料になる無治療の初診時の状態を、その医療機関に保存していただくためです。
他の医療機関から受診された方には、最新の治療薬を処方されていない方がいらっしゃいます。
新薬を処方せず、ジェネリック医薬品の処方により、医療機関側に診療報酬が余分に入る仕組みがあるからです。
当院は、自分の利益を優先するような診療はいたしません。
最新の医学を取り入れ、その方に最善の医療を目指します
紹介先医療機関
緑内障専門機関としては、大阪医療センター眼科緑内障外来や福島アイクリニックを主に紹介させていただいております。
緑内障診療で大事な3つのこと
1.医学知識
最新の緑内障の知見の習得に努めています。
2.設備
緑内障の専門機関を紹介した後、患者さんは「杉本眼科と同じ検査をして同じことを言われた」とおっしゃられます。
手術はしておりませんが、設備的に必要な検査はさせていただけます。
3.どんな医者に診られるか
緑内障は失明の可能性のある病気だから、大きな病院の眼科で診てもらいたいと思い方もいらっしゃると思います。
しかし、そのような眼科に通院されていた方が、緑内障が進行し、あと数年で失明しそうになり、当院に紹介されて来られることがあります。
緑内障は、進行の判定に2〜3年を要する超慢性疾患です。
大きな病院だと担当医が2〜3年で転勤になる場合があります。
また、ある分野に秀でた先生だから緑内障も秀でているかというと、そういうわけでもありません。
その病院に緑内障専門医がいなかったり、緑内障手術をしていない場合、先ほど述べたように、失明するケースが起こりえます。
緑内障は一生の病気なので、一生かかれる医者の方が良いと思います。
では、開業医なら良いのかというと、ある開業医が閉院され、そこから来られた患者さんが、やはり有効な治療を受けず、漫然と様子を見るだけで、ほぼ失明状態になっていたことがあります。
緑内障診療は、医者が自分が診療にあたる時だけ、患者さんが見えていれば、その後は自分に責任はないというものではありません。
緑内障患者の主治医は、生涯患者さんの目を守るのはもちろん、その患者さんを診られなくなったとき、次に医者に責任をもってバトンタッチする「医師としての矜持」が必要です。
日本眼科学会認定眼科専門医
院長 杉本英之
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